阪神大震災は1月17日に起きた。真冬でともかく寒かった。このため、救援物資として毛布を送ってほしいという呼びかけがなされた。すると、全国から大量の毛布が送られてきた。この時困ったのが、汚れた中古のものが少なくなかったこと。というか、多かった。衛生面で不安があり、それらは廃棄した。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
困ったのは、仕訳に人手がかかること。大量に積まれた段ボール箱を一つ一つ開け、何が入っているかを確認せねばならなかった。何が入っているのか外側からは全く分からないものも多かった。使えないものはゴミ。これが非常に大量で、場所も取られた。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
これと同じことが、「食品ロスとフードバンクを結び付けるアイディア」で起きている。貧しい人に食品を配るには、余って捨てられるだけの食品ロスを食べてもらえば一挙両得じゃないか、ということで、ニュースなどでもよく取り上げられている。しかし、現場の方から聞くと、阪神大震災の毛布状態。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
あまりに奇抜過ぎて食べようと思えない商品や、賞味期限切れのもの。奇妙な調味料が妙にたくさん。コメとか、ベーシックに腹を膨らますことができておいしいものが皆無。何かないかとボランティアも仕分けするのだけれど、ほとんど廃棄に回すしかなかったりするのだという。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
仕訳する人手もとられる、何とか食べられるものだけ自動車に乗せて対象者の人に届ける、なんて手間を考えると、「買ったほうが安い」。結局、食品ロスをフードバンクに回せばよい、というアイディアはよさそうに見えて、単に体の良いゴミ箱扱いにされているケースがあるという。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
そもそも、食品ロスをゼロにしようというのが無謀。そもそも発想に問題がある。食品ロスは「安全余裕」でもあるからだ。
原子炉は多少暴走しても爆発せずに済むよう、余分に頑丈に作ってある。これが「安全余裕」。もし「安全余裕なんか無駄だ、経費削減のため原子炉の壁を薄くしよう」となったら。— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
いざというときに大事故を防げなくなる。だから、安全を確保するための「安全余裕」は必須となる。
実は食品ロスも同じこと。もし食料が足りないとなったらどうなるだろう?飢える人が出る。食料は命を支える必須のもの。これが不足したら死ぬ人が出るかもしれない。— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
だから食料というのは必ず余分に確保しなければならない。少し余るくらいにしておかないと、いざというときに餓死者が出かねないからだ。そう、食品ロスとは、食料安全保障にとっての安全余裕にほかならない。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
バブル経済の頃と違って、今の日本は貧しく、それに「もったいない精神」が行き届いて、食品ロスはかなり減っている。そんな状況での食品ロスは、量が十分確保できないばかりか、種類もいびつ。先日、フードバンクをやっている人が食品ロスで送られてきたのを見たら、調味料とか変なドリンクとか。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
いやこんなので腹を膨らませることはできないし、食べろとも言えない。わずかばかりマシなのを除いて、他は廃棄するしかない代物ばかりだった。食品ロスのものをフードバンクや子ども食堂に送ろう、という呼びかけは、阪神大震災での「汚れた毛布」と同じになりかねない。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
阪神大震災で、中古の毛布だったのだけれど、未使用品よりも人気の毛布があった。それには手紙が添えられていた。「使用済みのもので申し訳ないのですが、洗濯し、3日間日に干しました。こんなものでよろしければお使いください」。その毛布からは、人情のぬくもりを感じることができた。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
未使用品の毛布でも、10年くらい押し入れにしまいっぱなしだったのだろうという、つぶれてペシャンコのとか、なんだかかび臭いようなものだとかも少なくなかった。しかし手紙を添えられたその毛布は、フカフカで心地よく眠れるよう、配慮されていた。人気があるのも当然。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
不思議なもので、その荷物を送った人がどういう気持ちで送ったのか、感じられることも多かった。「被災地は寒いらしいしモノもないからこんなものでもありがたいと思うだろう」と、どこか見下げている感のある梱包は、段ボールを開けた瞬間「ああ、そういうつもりなのね」と感じる。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
しかし手紙付きの人気の毛布は、日に干してフンワリした柔らかさが潰れないよう、箱詰めにも細心の注意が払われていた。その心づくしが、箱を開けた瞬間に分かる。被災者を人間として見ている、対等な人間として見ていることがよく分かる梱包。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
さて、食品ロスをフードバンクに、という呼びかけは、どちらに転ぶだろうか。「腹が減っているなら文句を言わんだろう、こんなものでもありがたいと思って食うだろう」と思ってモノを出していないだろうか。そうした心映えはしっかり中身に映し出される。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
「食べられる食品を施設に提供」といえば、善意の衣を借りることができる。そう、阪神大震災で毛布を送ったように。しかしその時、「そういえば捨てようと思っていた毛布がうちにあったわ。あれ送ろうか」という人が少なくなかったため、被災地はゴミ捨て場と化してしまった。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
フードバンクもそうなる恐れがある。というか、すでにそれが発生している。支援している方から聞いたけれど、ゴミにするしかないようなものが送られてきて、そうでなくても生活再建ができなくて傷ついている心をさらに傷つけられた、という人がすでに。むしろこうなると、悪意よりもタチが悪い。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
「どうせゴミになるなら、おなかの減っている人に」「どうせ捨てるなら、寒いと思っている人に」これらは善意に見せかけているが、悪意以上に受け取った人の心を傷つける。仕分けする人手がかかる。ゴミとして捨てる作業に手間と時間がとられる。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
支援の基本は、自分も食べたくなるようなもの、使いたくなるようなものをお送りすること。ここを外しちゃいけない。また、「ありがたいと思え、感謝しろ」はダメ。どこまでも対等な人間として対することが大切。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
スーパーの売れ残りの変なものを出すくらいなら、手作りのホカホカおにぎりの方がはるかによい(もちろん今ならコロナ対策して)。相手に喜んでもらおう、どうすれば喜んでもらえるだろうか、変に傷つけないで済むだろうか、という配慮こそが大切。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
安直に、食品ロスを施設に送ろうという話に対して、私は強い警戒感を抱く。善意の衣を被った、人を見下す心理、思い上がりは、悪意よりもタチが悪いことを、私たちはそろそろ学ぶ必要があると思う。これを良い行動として勧めようという掛け声にも、私は細心の注意が必要だと思う。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
それに、繰り返すが、食品ロスはゼロを目指してはいけない。食料安全保障を考えるなら、食品ロスは「安全余裕」なのだから。安全余裕は余りものだから種類や量がいびつになる。それを施設に押し付けるなんて、失礼な話。まず、その失礼さを自覚する必要があると思う。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
「余ったものはみんなフードバンクや子ども食堂に送ればいい」という流れができつつある。私はそれにちょっとした憤りを感じている。食べるに食べられないものを送る流れが今後もひどくなるようなら、いずれ私はその善意の皮をはぐことをためらわないだろう。
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
「悪意よりタチの悪い善意」は、相手が感謝し、自分にひれ伏すことを暗に求めているのかもしれない。
気持ちのよい善意は、たとえ自分がいなくても、相手が笑顔で暮らせるようになることを祈っているのかもしれない。— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
食品ロスは食料安全保障上の重要な「安全余裕」であることを、こちらの本でまとめています。https://t.co/yH0nztRj8Y
— shinshinohara (@ShinShinohara) December 13, 2022
東日本大震災のとき救援物資の受付をさせていただきましたが、本当にそんな感じでした。貰い物だけど未使用だからと、何十年前と思われる毛布などを持ってこられた年配の方、たくさんいらっしゃいました。受け取れないと断るとすごい剣幕で怒られたので、途中から受けとった上で捨ててました。
— らんまる (@ranmal99087191) December 14, 2022
阪神大震災で被災しました
当時学校の中は被災者とご遺体の保管で体育館、教室と入る場所がなく1月の寒い中外の運動場で寝るのを余儀なくされました。数日経ち毛布が届きとても嬉しかったのを覚えています。寒すぎて何でも良いから暖をとりたかった一心でしたね、、、。— あ (@shootingstarxx4) December 13, 2022
福島の震災の時に集めるのはこの4項目と聞いて最も集まらないであろう下着にしました。ユニクロでパンツ、靴下をたくさん買って持参すると「新品!わざわざ買ってきたんですか?」と驚かれたのでこちらが驚きました。
— 10squids (@10squids) December 13, 2022
こういう呼びかけをするときに、きちんと指針を設定した方が良い気がします。中古ならこういう条件のもの(1週間以内に洗濯した破損していないもの、など)と指定するだけで随分違うのではと。寒いだろうからすぐ捨てられても良いから1日も早く送ってあげようと考えた方も多かったのではないでしょうか?
— patio ?? (@patiokawaii) December 13, 2022
自分なら可能な限り(金銭的に)、新しいものを買って送る
が普通の考えだったので、家に眠ってるような、ずっと使われてなかったものが送られてるということに衝撃でした。
寄付だから何でもいいわけじゃないですよね。
自分が使うものとして考えないと。— いちご (@ichigo_ren__) December 13, 2022
母が人に物を差し上げる時は「惜しい」と思う物をと言っていました。特に見ず知らずの方に送る場合は尚更と。
— azores (@mmeazores) December 13, 2022
私は施設へさせてもらってますが、友人からお古だけど綺麗だしブランドの服、靴だから、持って行って。と頼まれたが、自分の子どもにそれをして、子ども達が喜ぶの?と伝えました。
普段の寄付ならそれで良いですが、クリスマスは誰でも特別ですよね…
自分がされた時の事を考えて行動すべきですね— ??ヘビ飼いさん??ダイエット中 (@ripipi_t) December 14, 2022
20年以上前の話ですが、某ピザ屋でバイトし始めた頃は間違えて作ってしまったピザなんかは従業員で分けて食べていました。
同じ頃コンビニでバイトしていた姉は賞味期限切れの弁当を嬉しそうに自宅に持って帰って来ていました。
それが同時期にどちらも出来なくなりました。↓— TAKA (@TAKAVlog) December 13, 2022
出来立ての、何ならお客様に届く時より美味しいピザがゴミ箱に直行する光景は今思い出しても疑問を感じます。
フードロスを減らす努力は、そういった現場の消費でこそするべきと思います。— TAKA (@TAKAVlog) December 13, 2022
「困ってる人に送るなら金にしとけ」
— ひさす????? (@hisasu77) December 13, 2022
製薬企業に勤めてた頃、期限切れが近く廃棄の可能性が濃厚な薬剤を(捨てるくらいなら)途上国などに送れないのか?という話が上層部からたまに降りてきました。廃棄にもお金がかかるからです。
そもそも無理なんですけど「日本で売れ残るようなマイナーな薬など外国で使われる訳ないやろ」と心の中で…
— BD52, Ph.D. (@BD5214) December 13, 2022
プレゼントやおもてなしをするときと同様で「自分が欲しくないものは人にあげない」ようにする、ということでしょうか。
「どうせ自分が使うのではないからこれでいいか!」みたいなことになりがちです。— ぶぶ姐(??????で認知症介護@11年目突入) (@bubu_honya) December 13, 2022
通りすがり失礼します。
どなたかが、福島に通い続け、福島の被災者の方々の本音を聞き出しました。あんたらが要らないものは、俺たちだって要らないんだよ??そんなこと言えないだろ??善かれと思ってやってくれるんだからさ??
頭を殴られた気持ちでした。本当それ
— Jane Do (@tluv2kids) December 13, 2022
南三陸町の避難所で支援物資仕分けのボランティアしてました。ある日関西の学生団体がバスでやってきて大量の土とひまわりの種を持ち込み「阪神との絆ひまわりを育てて下さいね!僕たち今日もいいことしたぜイェ?!」とご満足げに帰って行きました。すごく迷惑でした。
— iwashi@Project Management (@EPC_PM_iwashi) December 13, 2022
現行コストコのパンなどがその日の賞味・消費期限切れが施設に2週間に1度その日に量や無しがわからない状態で回されていますね
食に困っている人は無いよりもマシと思って受け取るしかない状態ですが、流石に供給量の落差や即日期限切れを譲渡して社会貢献としているのは少し人権が疎かに感じます
— 健彦 (@takimoto797) December 13, 2022