9.11となると毎年、崩壊した世界貿易センターツインビル、半壊した国防総省ペンタゴンのことが話題になる。
けれど、もう一機、4機目のハイジャックが実行されていたことはあまり話題にならない。4機目の便名は、ユナイテッド航空93便。あの事件で、唯一テロ爆破を阻止した航空機だ。
— N.(はるさん) (@haru9629) September 11, 2020
93便は潜伏したテロリストを含む乗員乗客44名を乗せて、9月11日の8時42分にニューアークを出発した。西海岸のサンフランシスコ行きの航空機は、東海岸を離れるより前、9時27分にハイジャックされ、そのままワシントンに向かわされる予定だったという。
— N.(はるさん) (@haru9629) September 11, 2020
そのまま首都ワシントンD.C.は火の海となるはずだった。しかし、93便が落ちる前、電話でツインタワーに突っ込んだ他の機の末路、ニューヨークの惨劇を聞いた彼ら乗客たちは「飛行機を取り戻す」と息巻いていたという。
ただの家族のお父さん、ただのビジネスマンなどにすぎない人たちがである。— N.(はるさん) (@haru9629) September 11, 2020
コックピットボイスレコーダーの記録によれば、ハイジャックの30分後までには「乗客には斧を使え」と警戒する犯人らの声が、そしてその数分後には実際にコックピットのドアを破ろうとする衝突音、皿の割れる音、かすかな怒号が記録され始める。犯人らは操縦桿に集中できず、ドアを押さえに入る。
— N.(はるさん) (@haru9629) September 11, 2020
食事を配るためのあの重たいカートを乗客たちは何度もコックピットのドアに打ち当てた。犯人らは冷静さをかきはじめ、酸素供給をカットしろ、機体を揺らして乗客を脅せ、とテロ目的とは関係ない指示に集中しはじめる。ときに10時のことだ。
— N.(はるさん) (@haru9629) September 11, 2020
事故調査報告によれば、結局乗客たちはコックピットには侵入できなかったとされている。だが彼らの勇気ある行動は、確実に犯人らの目的達成意欲を削いだのだ。
10時03分、勇敢なヒーロー40名を載せた93便は、テロリストを道連れにワシントンではなくピッツバーグ郊外の無人地域へ墜落した。
— N.(はるさん) (@haru9629) September 11, 2020
結果からいうと、残念ながら93便の乗客乗員は全員亡くなった。その中には早大の二十歳の日本人学生も混じっていた。
しかし、地上の犠牲者は一人もいなかった。決して40名の犠牲は少ないものではなく、安堵するものではない。
ただ確かに、そこには何百人もの命が救われたという事実がある。— N.(はるさん) (@haru9629) September 11, 2020
その事実が乗員乗客によるものかについて、確実なことは事故調査報告には載っていない。
それでも、9月11日になると私は思い出す。
派手ではなく、地上犠牲者もなく、さほどニュースにはならない、ユナイテッド93便の勇敢なヒーローたちの話を。— N.(はるさん) (@haru9629) September 11, 2020
後日談。
93便には10時30分頃に撃墜命令が出ていた。しかしその27分前には同機は墜落しており、その地点からワシントンまでは20分程であり、周囲に武装した空軍機もまだ居らず、もしピッツバーグに落ちていなければ少なくとも首都市街のどこかに被害が出ていた可能性が高いと言われている。— N.(はるさん) (@haru9629) September 12, 2020
現在、墜落地点には「忘れられた英雄」を弔う慰霊碑がある。ペンシルバニアのシャンクスビルというところで、機会があればぜひ見に行って欲しい。また、このお話は映画にもなった。ラスト15分だけでも見る価値がある。Let's role. https://t.co/MNyEjXVrIf
— N.(はるさん) (@haru9629) September 12, 2020
忘れられた英雄たちに敬礼を。
— N.(はるさん) (@haru9629) September 12, 2020