いち大学教員として、皆さまにお願いがあります。


留学生のみならず、ヨーロッパからの入国者に対しては、日本到着後も「公共交通機関」(それもどこまでの範囲を指すかが明らかでない)の利用自粛、自宅やホテルでの14日間の待機が要請されています。
  

しかしそれを本気で実行すると、帰国後に行き場を失ってしまう学生が大量に出てしまいます。
  

そもそも「地方」在住の学生にとって、成田空港や羽田空港に到着後、「公共交通機関」を利用せずに帰宅することはきわめて困難です。

そしてホテルを利用しようにも、14日分の宿泊費をすべて自腹で支払うのは学生には不可能です。

さらには意を決してホテルに予約を入れた場合でも、チェックイン時にヨーロッパからの帰国者とわかるやキャンセルされる事例が相次いでいます。

なので、結局は「要請」を無視し、「公共交通機関」を利用し帰宅するしかない学生が、大勢出てきています。

海外での生活に期待と不安を膨らませながら現地に到着した矢先、日本への帰国を余儀なくされ、帰国後は何のフォローもなく、バッシングに怯えなければいけない…彼ら/彼女らの失望と絶望は、いかばかりでしょうか。

もし今後、帰国した留学生の中から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「陽性」が確認され、さらには帰国後に「公共交通機関」の利用が確認されたとしても、どうか彼ら/彼女らに批判の矛先を向けるのはやめてください。上記のような、やむを得ない事情があってのことです。

そして今回の事態で真に批判を受けるべきは、要請を出すだけ出し、その後はフォローもせずに自己責任論を決め込んでいる日本政府です。

留学生がこれ以上の不利益を被ることのないよう、不要な個人特定やバッシングを控え、一日も早い状況改善に向けて動く必要があります。

自分も大学教員として、まずは身近な学生のフォローを継続していきたいと思う次第です。
  
  
【追記】ご指摘があったので一点追記を。上記の文章では「日本政府からの要請を受けて帰国を余儀なくされています」としましたが、厳密に言うと、日本政府(外務省)が「要請」したのは「帰国」ではなく「渡航自粛」です。やや誤解を招く表現であったことをお詫びします。