30歳男性。
男「死にたいです」
僕「一人?」
男「はい」
僕「仕事は?」
男「してます。でも行きたくないです」
僕「じゃあ明日まず休もう」
男「でも送別会の幹事してるので」
僕「どうでもいいよ。死にたくなってるんだから休もう」
男「はい」
僕「何やってるの?」
男「倉庫の管理です」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
僕「貯金ある?」
男「はい。60万円あります」
僕「えらい。じゃあいつやめてもいいよ」
男「はい」
僕「好きなことある」
男「ないっす」
僕「即答だなあ。なんかあるっしょ」
男「ないっす」
僕「じゃあ小学生の時から考えよう。小学生の時何が好きだった?」
男「何も好きじゃなかったです」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
僕「そっか。じゃあ中学生のとき。部活してた?」
男「陸上部です」
僕「おっ、してるじゃん。楽しかった」
男「はい」
僕「おっ、楽しかったんじゃん!」
男「中学生の時だけ楽しかったんです」
僕「高校と大学は?」
男「記憶がないです」
僕「で、今は休みの日何してるの?」
男「寝てます」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
僕「そりゃ今元気がないからでしょ。元気な時だよ」
男「街を歩いてます」
僕「いいね。歩いてどこの店行くの?」
男「服屋ですかね?」
僕「なんのブランドが好きなの?」
男「ありがちですけどdieselですかね。あとサイコバニー」
僕「好きなのあるじゃん!その二つだとどっちが好きなの?」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
男「サイコバニーですね」
僕「やったー!あったじゃん好きなの。サイコバニーだよ! じゃあ、死んだと思って、ロボットになって僕の命令にしたがってくれるかな?」
男「はい」
僕「明日まず仕事を休むこと」
男「休んでいいんですかね」
僕「もちろん、死にたいんだから当然や」
男「はい」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
僕「で、紀伊國屋新宿本店に行って手芸コーナーでシャツの作り方の本を品定めしてこれと思うの買ってきて」
男「はい?」
僕「サイコバニーに負けない服自分で作れるようになろうぜ」
男「はい」
僕「興奮しない?」
男「少しします」
僕「してんじゃん!」
男「はい」
僕「無茶素直じゃん」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
男「作ってみたいです」
僕「なんでも作るときは、安い材料で適当につくるんじゃなくて、本格的にやった方がいいの。だから、ミシンもいいのを買うから、とりあえず仕事は嫌でもやっていこうか。貯金もうちょっと増やしていこうよ」
男「そう思うと働けます」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
僕「それでいつかサイコバニーに負けない、最高級のシャツを自分で作ってみようよ。そして、死ぬまで服は自分で作るって気持ちでやってみよう。気づいたらファッションデザイナーになってるかもよ」
男「はい」
僕「友達いる?」
男「一人もいないです」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
僕「友達ってね、死にたいときに助けを頼める人のことなのよ」
男「はい」
僕「だから僕がいるからいいんじゃないの?」
男「いいんですか」
僕「いいよ。だって、他にいないんでしょ」
男「はい」
僕「素直で、君なんか面白いし、いいよ。だから今後一切友達いないとか思わないでね」
男「はい」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
僕「それでこれから一年間、シャツを作るまでの訓練をしていくけどいいかな」
男「はい」
僕「その前に一つ命令があるんだけど」
男「はい」
僕「僕の友達である君を二度とお前はダメなやつだと言っていじめるなよ。許さんぞ」
男「はい」
僕「絶対にいじめるなよ」
男「いじめません」
僕「頼むから」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
僕「で、とりあえず、明日、シャツの本買って、それでまた電話して。とうとう始まるぞー。生まれて初めて、好きなことに真剣に集中する時間が。嬉しい?」
男「はい。嬉しいです。ありがとうございます」
僕「じゃあ、今日はもうゆっくり寝なさい。明日の真剣な作業に差し支えるから」
男「はい」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
僕「これからファッションデザイナーになっていくにあたって、いいミシンが必要になるから、仕事は辞めずにとりあえず軌道に乗るまでは修行と思って働こっか」
男「はい」
僕「服も買わずに貯金に回して、最高級の材料買おうよ」
男「はい」
僕「今日は友達もゲットして、夢ももてたからねれるかな」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
ポイントポイントで「命令」しているのが良い。
精神的にまいっている人は、アドバイスでは自分の都合やら忖度やらで捻じ曲げて誤魔化してしまいがちだからね…。— E M A N O N (@E_M_A_N_O_N) 2019年10月25日
僕が友達じゃん!と言ってくれるのは凄く大きいと思います。人間、ひとりぼっちじゃ本当にポキンと逝くから……。そう言って貰えたのは、何物にも代えがたい大切なことだと思うなあ。
— 安達O@光文社文庫「悪漢記者2/鄙の聖域」9月11日発売! (@Adachi_O1958) 2019年10月25日
電話にでた当初は声も出ない状態で、無茶心配したけど、最後はやる気になってた笑。とにかくあとはアフターサービスですな。いのっちの電話は一生保証のつもりでやってます。なんでそんなサービスがいいのかは僕でもわかりませんが、気がよく変わるのも特徴なので、変にあてにはしないでねー。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
基本的に自分のことは自分でやる。それでできないことは人に頼む。頼む人がいないなら僕が担当する。この流れで行きましょう!みんなの悩みは私の悩み。それができたら、友達むちゃできるよね。そうすると困った時に助けてもらえる。僕は自分の身を守るために、人の話を聞いてるんだと思う。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
あの彼が、いつかシャツを作り上げたら、びっくりするだろうなあ。僕、本当に世界最強の毎日コツコツ型の人間なので、そんな人間が併走しちゃったら、誰でもなんでもできちゃうんですよ、多分。シャツできたら発表しますねー。お楽しみに。生まれてこのかた好きなものがないと言ってた人の自家製シャツ
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
なんでやろうと思ったことも途中でやめちゃうかと言うとやっていることを見せる相手がいないだけで見せる相手がいてその人に見せようと思うと誰しもやるのよね。そういう人はフツー恋人になんだろうけどでもそれだと効率悪いじゃない。本来なら恋人に向けるはずの力を恋人がいない人から見出す戦術です
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月24日
みなさん、いのっちの電話のやり取りを読んでわかったと思うんですけど、今しにたいって思ってる人のおそらくほぼ全ての人が、死にたいんじゃないんですよ。。だからほんと死ぬ前に、この坂口恭平という変なやつに迷惑だなんて考えずに電話してねー。死んだら辛いもんー。楽しいこと一緒に考えよう
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月25日
15歳の男の子から電話。2回目。前回はムーンパレスが好きって言われたからじゃ小説書こうと言ったのだ出来上がったのは20曲の歌だった!笑。すげーじゃん。中学校行ってないけど気にせずアルバム作って売ることにした。毎週電話してと伝える。アルバムできたらここで売るから買ってね!みんなすごいね
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月25日
死にたいあなたにお供します。理由は死にたいってところまで24時間めんどくさいだろうに悩み続けるってはっきり言ってただの能力だからです。能力ある人を見逃す馬鹿はいない。僕は才能を見出す天才なので人のいいところならすぐわかる。どうすれば生きるかがわかる。人のことならね笑。自分は知らん。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月25日
そしていのっちの電話はいつも心の底からありがとうと感謝の言葉をもらえるんですよ。こんな仕事今までやったことがない。どんな仕事も金が絡んでるから。そんな交換じゃない感謝の言葉を毎日聞けるのでほんといい仕事天職だと思ってます。みんなは重くないですか?とか勘違いしてる笑。感謝の仕事です
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月25日
78歳で来月79歳になる男性が電話。死にたい、苦しいと。鬱で3ヶ月入院。僕「好きなのなんですか?」
男性「え、もうなんもないです」
僕「いや、今のことじゃなくていいですよ。昔」
男性「昔は、ベートーベンの運命聞いてました」
僕「ほら、芸術好きなんじゃないですか」
男性「もう今はだめ」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月22日
僕「いや、そんなことないですよ。次、絵は?」
男性「え?」
僕「ピカソは?」
男性「嫌いです。セザンヌが好きです」
僕「ほら笑」
僕「目をつむってみましょう。何が見えますか?」
男性「海が見えます」
僕「どこの海ですか」
男性「大村湾です。長崎の」
僕「ほら笑」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月22日
僕「近くに100均ありますか?」
男性「あります」
僕「今すぐ百円で絵の具と絵筆だけ買って、カレンダーの裏に記憶の中の大村湾描いてくださいよ」
男性「描いたって無駄ですよ」
僕「でも浮かんでるんだから。描いて送ってください。見たいです。友達になるんで、一緒に芸術語り合いましょうよ」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月22日
男性「はあ」
僕「芸術のこと忘れたらだめですよ。好きだったでしょ昔」
男性「はい、、でも今は話す人がいなくて」
僕「だから僕に送ってください。みんな忙しいけど、僕暇で芸術のこと大好きだから。絵描きで音楽家なんですよ、僕」
男性「えっ、そうなの?」
僕「だから送って」
男性「はい」— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月22日
困ったときに何時でも電話できて、つながらなくてもすぐ折り返し電話がかかってくる人っていますか? あ、いませんか? でもこれ読んでる人みんな僕の電話番号知ってるっことだから、いるってことなんですよ。それでも死にますか?
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月25日
金くれる人ばっかりフォローするんじゃなくて、僕をフォローしとけって思うけど、とにかく粛々と人の声に耳を傾けることに集中します。みんな叫び方が間違ってると思う。辛いならちゃんと文句言わずに、苦しいって嘆いたほうがいい。そこからしか次は見えない。我慢せずに、伝えて、次につなげてく。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月25日
精神科に行って抗うつ薬安定剤睡眠薬もらうのもいいかもしれないけど、薬は薬でしかなくて、薬って毎日飲む=日課ってことなのよね。だから新しく日課を自分で作ればいいのよ。そのお手伝いを僕がするんだから、医療費払うくらいならまずは僕に電話したらいいのに。節約もできるよ。金は最後に使おうよ
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月25日
でも、電話は、一応、死にたい人に限定しときましょー。とりあえずかかってきたら全部出るけど。。死にたい人にあけておきましょう。悩んでるぐらいだったら自分で考えてみてー。それも大事な作業と思うよ。答えをすぐに求めないー。
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月25日
みんな自分にも厳しいし、人にも厳しいね! もうちょい甘め設定だとすごい楽かも? ちょっとできただけでいいじゃん!って自画自賛できるとより楽しくなるしなによりも楽よ。楽が一番。窮屈にやると楽しくなさそうじゃん。もちーっと楽にいこー
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年10月25日