僕が小学生の頃なんですが、故郷の街の基幹産業だった造船が、造船不況の直撃を受けて壊滅したんですよ。造船の労働者、技術者たちは田舎街の数少ない「高給取り」だが、この人達が路頭に迷った。当然その家族も巻き添えを食い、家族ごと街を出た者も多かった。街の人口減少が始まった。↓
— 中田大悟 NAKATA Daigo (@dig_nkt_v2) July 14, 2020
ここから、僕は絵に描いたような街の没落を目の当たりにすることになる。造船労働者たちの需要にぶら下がっていたサービス産業がドミノ倒しのように潰れていった。先ずは飲み屋街。若いお姉さんたちがいるような店が灯りを消して、それに引っ付いていた洋服屋がシャッターを下ろす。↓
— 中田大悟 NAKATA Daigo (@dig_nkt_v2) July 14, 2020
そのうち、街全体の人通りが減り、街の灯りがまばらになる。大人たちも、自分たちの仕事の将来の見通しを下方修正し、なんかとして今の食い扶持だけは守ろうと保守的になっていく。念の為に付け加えると、これは、いわゆるバブル景気がやってくる直前の話。日本全体は、極めて上昇志向の時代。↓
— 中田大悟 NAKATA Daigo (@dig_nkt_v2) July 14, 2020
消えたのは一つの産業とその派生需要。経済の理屈から言えば、余剰人員は他の産業に吸収されれば良い。でも、小さな街の中で仕事を失い、他の仕事にありつく、というのは、時として共同体内の階層移動を伴うこともある。羽振りの良かった家の子が、公営住宅、文化住宅に転居して暮らしぶりが変わる。↓
— 中田大悟 NAKATA Daigo (@dig_nkt_v2) July 14, 2020
これはあまり良い思い出でもないが、そういう地域社会の暗転の中で、経済問題に抗えなくなった人が自死を選んだ現場に居合わせたこともあった。厚みのある血糊が広がったフローリングの床を、僕は忘れることはない。人間にとって、生きていくための経済的基盤を失うということの怖さを知った。↓
— 中田大悟 NAKATA Daigo (@dig_nkt_v2) July 14, 2020
だから、経済で余剰人員は他の産業に吸収されればいい、というタイプの議論が、一体、何を削ぎ落としているのか、ということを、僕は感覚としては理解しているつもりでいる。ヘッドハントや求人広告ですんなりと移動できる社会や局面というのは、実は経済のほんの一部にすぎない。↓
— 中田大悟 NAKATA Daigo (@dig_nkt_v2) July 14, 2020
こういうのを経済現象を見てしまったから経済学を勉強したわけではなく、経済学部に進んだのは本当に偶然だったのだが、今にして思えば、世の中が失われたx0年に入る前に、経済変動が人間に与える凄まじさを、実体験として理解できたのは、本当に貴重なことだったなと、感じる次第である。
— 中田大悟 NAKATA Daigo (@dig_nkt_v2) July 14, 2020
https://t.co/I4Ru662C8V
おそらく中田さんと同じころに霞が関からそれを体験した人のtweetですけど「葬い」と書くのがすごく印象的で、霞が関から見ても相当なトラウマなんだろうなと思いました。— あかさたな (@emesh) July 15, 2020
うちの祖父は北海道の炭鉱の会社の役員だったんですが、定年直後くらいに潰れたのですが、大阪から遊びに行く度にどんどん商店街がゴースト街みたいになりうつろいでいくのをみて、幼いながらに悲しくなった記憶があります。
— ひらめのえんがわ(゜)#) (@chip_kookmin) July 15, 2020
素晴らしいまとめ。
特需による単一産業は、
日頃から次の布石を
考えなくてはなりませんね。
胡座をかいた瞬間から
衰退は始まっている。— 杏ルナ (@anzuluna) July 15, 2020
今は何とか持ち直してますが鉄鋼の街もそんな感じでした
繊維業もそうですが時代ごとの花形産業はみな同じような道を辿るかと— ??番長?? (@acrobunch) July 14, 2020
私はその対岸育ちで、中学生でしたかね。親父は工場長で、男泣きしてたの憶えてます。
— ヨシナリ (@iamyoshi) July 14, 2020
そうやって一度衰退した産業は、再度需要が高まっても技術の継承が行われて無いから結局外注するしかない
って事になるんですわなぁ……
— うっかりたつを (@ukkari_tatuo) July 15, 2020
特定の産業に依存したまちづくりの栄枯か…。華やかだったぶん、反動は大きいのでしょうか。近年だとデトロイトがこうなっているそうですね。
— hahahahaha (@hahaha_japan) July 15, 2020
読み応え、読後の感想が強く残る、そんな文章でした。
引っ越しや転職で移動できる層…、そう上手くは移行できないですよねー…。— ざつがクート??V雑学:♀?&♂?声? (@ZtgKuuto_TRIVIA) July 14, 2020
有名な造語に「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」があるが、パンとケーキはどっちも小麦から出来ている。小麦が取れずパンが消えた町では、ケーキも手に入らない。「現場を知らない支配層の暴言」という意味では一致している。
— 宮路豊 (@koneko_club) July 15, 2020
今は製鉄所が渦中にある
需要の激減で工場は閉鎖ラッシュ、株価は右肩下がり— 覇王連合を壊滅させたブリ子(最強)ブリブリ (@kichiku9kikuchi) July 15, 2020