ただし、まだ発生していない国や流行規模が小さな国においては、引き続き水際阻止の対策がとられる可能性があります。つまり、日本を含めた流行国からの入国制限がこれで解除されるわけではありません。封じ込めが目的でなくとも、流入をできるだけ抑えようとする国はあるわけで、これは各国に委ねられた権利です。
もう少し早く、宣言すべきではなかったか・・・?
このウイルスの病原性が軽かったなら、たとえば、季節性インフルエンザと同等であったなら、私も「もっと早く封じ込めをあきらめるべきだった、遅すぎる」と考えたでしょう。
でも、このウイルスは、高齢者や基礎疾患のある方への病原性がインフルエンザとは比較にならないぐらい高いのです。80歳以上だと発症した人の15%が亡くなるという報告があるぐらいです。ですから、できる限り封じ込めを追求したというのは、現場の医療従事者としっては納得のいく方針でした。
今回、WHOがパンデミック宣言をしたことで、ワクチンや治療薬の開発が加速することが見込まれます。封じ込められる可能性があるならば、製薬会社は投資することに躊躇します。しかし、世界的な拡がりが確実と見なされたことで、政府も、企業も、研究者も、しばらく(数年?)は続くことを見越して展開するようになるでしょう。中長期的な視点において、この宣言がもたらすメリットと言えます。
私たちのとっている対策が、これにより変更されるのか・・・?
いいえ、やるべきことは変わりません。発生当初の武漢や現在の韓国、イタリアでは、医療現場が混乱しています。あのような状態に陥らないように、今後も、日本での感染拡大を抑止すべきことは間違いありません。ただし、これを封じ込めてゼロにできるかというと、世界での流行が始まった以上は困難ですし、その後も流入しつづける可能性がありますから、その意義は少なくなったと言えます。
今後の主たる目標は、流行をコントロールすることになります。大規模なクラスターが発生しないように、閉鎖空間に不特定多数が集まるようなイベントは今後も自粛していきましょう。ただし、重症化リスクの高い人たちについては社会の協力のもとで守っていきますが、元気な若い人たちについては個人レベルの防御に任せざるをえなくなるでしょう。
そして、医療機関へのインパクトを減らすべく皆さん協力いただいて、病床が適切に運用されるようにして、終息に至るまでのあいだ、重症者の命を救える体制を維持することが重要です。
最後に・・・、とくに持病のある方々へのお願いです。
どうか、いまこそ医師の指導を守って内服し、規則正しい生活を送り、生活習慣病のコントロールを保ってください。これは新型コロナウイルスに感染したときの重症化予防にもなりますが、そもそも基礎疾患の合併症を予防することで医療現場への負荷を軽減することにも繋がります。
「おじぃ、酒ぇ、うふぃぐゎなぁ、ひかえらんねぇ、ならんどぅさい」