もうさんざん言われてる事ですが、日本で犬飼ってる人は犬に狂犬病予防注射を年1回打ちましょう。必要な事だし、獣医師の金儲けでもありません。本当にあれ危険や労力の割に儲からないですよ。
まず海外が3年に1回とかなのに日本は年に1回なのは、日本のワクチンがそういう仕様なのがひとつ。— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
海外の3年用は日本のものと比べ単純に強烈です。故に副反応の強さ起こり易さも日本のそれより上。副反応が心配だから3年用打つというのは副反応回避したいという観点から見ればナンセンスです。本当に日本の狂犬病ワクチンはよく出来てて安全性高いんですよ。確かに効果は1年ですけどね。
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
で、もうひとつの理由は狂犬病の感染経路の問題。狂犬病の流行には森林型(野性動物が保菌してて主にそこから感染)と都市型(飼育動物および市街地の動物が保菌してて主にそこから感染)の2つがあります。前者は米国など、後者はかつての日本や今のアジアなどが当てはまります。
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
米国などでは犬の予防が蔓延を防ぐという点において効果が薄い。かといって野性動物全てに予防接種など出来る筈もない。よって野性動物との接触を避ける&咬まれたりしたら狂犬病を想定して治療を開始する事が、動物の予防接種よりも重視されます。
※犬の予防をしない、という意味ではなく。— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
これに対しアジアでは市街地の野良犬などが保菌してて、これが人への感染源となる。故に人のすぐ近くにいて、かつ咬傷事故を起こし易い犬に予防接種する事と野良犬の撲滅が防疫上重視されます。日本のように狭い国土に大都市を沢山抱えた国で狂犬病が発生したら、最大の感染源になりうるのは犬なのです
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
で、日本ではとにかく犬の予防注射が狂犬病の防疫上大事になる。幸い国内の野性動物から狂犬病ウイルスが見つかったりもしてないので、犬の予防を最優先すれば効果はある。そして国内のワクチンが1年用で認可されたものしかなく、法律でも年に1回打つと決まってる以上そうする必要がある…という話。
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
あとですね、金儲けって言う人いますけど、狂犬病予防注射に関しては獣医師は全く儲かりませんよ。年に1回せいぜい3000円ちょい。犬の避妊手術が仮に4万としたら一度に狂犬病予防注射13年分です。製薬会社にしても本当に儲けようとするなら、寧ろ狂犬病なんて予防するなって言うと思います。
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
人の場合、狂犬病の感染後に発症抑える際は免疫グロブリン製剤とか使いますが、これなんて狂犬病ワクチンとは比べ物にならないほど高額ですからね。にも関わらずやらないし、街の獣医さんたちが狂犬病予防奨めるのは、とにかく狂犬病が危険であるからに他なりません。
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
蛇足。
犬に法律でわざわざ予防接種義務付けてるのは、「犬の命守る為」じゃなくて「人の命守る為」なんですよ。これを勘違いしたらいけない。狂犬病などという全ての哺乳類に感染し発症したら事実上100%死ぬ感染症が国内に蔓延する恐れを考えれば、可哀想だから注射しないとかいう発想は出てきません— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
更に蛇足。
森林型流行と都市型流行というのが聞き慣れない言葉かも知れないので少し。
まず米国などの森林型は「ウイルスが人間の生活圏から排除、若しくはほぼ排除されてるが、野性動物には広まってる状態で、野性動物との接触で感染する」というもの。あらゆる場所にいる野性動物が感染源となります— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
しかし人間の生活圏には基本的に野性動物がいない為、人の感染は偶発的であり、更にその発生場所もてんでまちまちです。「発生が散発的&感染者が少ない」 という形になります。感染源としては蝙蝠やアライグマがメインで、犬はそれほど重要でありません。
※ただし犬も感染源になりうるので予防はする— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
これに対しアジアなどの都市型は「人の生活圏内に感染源となる動物(特に野良犬)が普通に生息し、咬傷により人へ感染する」というもの。人口が密集してる場所に保菌動物が普通に徘徊してるわけで、当然感染の機会は日常的で、感染者も多い。森林型と逆で「発生件数&感染者数が多い」という形になります
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
すると当然、人の近くにいて元々攻撃力の高い動物である犬は感染源として極めて重要となります。かつての日本における狂犬病の流行もこの都市型でした。しかし野性動物からウイルスが確認されなかった幸運、徹底的に野良犬を撲滅した事、徹底的に予防接種を打った事で奇跡的に日本は清浄国となりました
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
当時より遥かに人口が密集化した今の日本では、狂犬病が再び侵入すれば、都市型流行は当時の比では済まない爆発的なものとなる可能性があります。故に飼い犬に予防接種を打ち、万が一、億が一、狂犬病ウイルスが国内侵入したとしても爆発的な流行を防ぐ…という目的の下に今の法律があるわけです。
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月10日
詰まる所、森林型流行してる国では防疫の重点が予防接種よりも感染源に近づかない事、そして人が野性動物に噛まれたりしたら、その動物がウイルス持ってるかどうか調べずに即、狂犬病ウイルスに感染したと想定して治療を開始する事になります。逆に言うとこの場合清浄国となるのはほぼ不可能と言えます
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月11日
都市型流行の国では感染源となる動物と人との接触回避が困難なため、野良犬を撲滅&飼い犬の予防を徹底する事に重点が置かれます。街の動物から野性動物にウイルスの拡散が起こると最終的に森林型と同じ形になり、清浄国には多分戻れません。この事態を防ぐ意味でも予防接種が大事なのです。
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月11日
もう際限なく伸びてるけど(爆)、あと「何で人の予防をメインにしないの?」って言うのは、人→人感染が動物からの感染より圧倒的に少ないからです。狂犬病は感染してから発症までの潜伏期間が長く、その間に上手くいけば(曝露後免疫により)発症を抑えられるのと、発症した人に普通は近づきませんよね?
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月11日
故に人より犬に予防接種するのが拡散防ぐには遥かに重要なのです。
人は狂犬病の感染源としては全く微々たる存在で、これを免疫しても流行の抑止には効果が薄い。
ただし、自分の命を守るという意味では勿論予防接種打つのは有効です。国も海外旅行の際に狂犬病の予防接種受けるのは推奨しています。— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月11日
今度こそ最後。
狂犬病が国内蔓延すれば、人もペットも命の危険があります。それは説明するまでもないでしょうが、恐らく事態はそれに止まりません。
哺乳類絶対殺すマンとも言える狂犬病が蔓延すれば、牛や豚や馬だって感染する可能性がある。そうなれば大量の家畜が処分され、畜産は大打撃受けます。— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月11日
下手すれば食肉乳製品皮革は供給が難しくなるかも知れない。予防が効く病気とは言え海外からの観光客だって減るかも知れない。日本は狂犬病に関しては地球上でも稀に見る超ホワイト国ですが、蔓延すれば海外にペットを一緒に連れていくのも最近話題のフッ化水素じゃないけど遥かに手続きが大変になる。
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月11日
狂犬病蔓延すればそういう事態になる可能性も絵空事ではないのです。誰ひとりとして幸せになれない。
…だからお願いします。犬を飼っている皆様、予防を必ずして下さい。陰謀とか利権とか言うデマに流されないで下さい。疑問や不安があれば掛かり付けの先生に質問して下さい。きっと答えてくれます。
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月11日
信じる信じないの問題でなく、今は法律で年に1回と決まってる以上、それを遵守しましょう。思考放棄する訳ではありませんが、犬が咬傷事故起こして1年以内に予防接種しておらず訴えられた時、「3年に1度でいいと言われた」と言っても、全く効果を持ちません。完全に飼主の違反となります。
— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月11日
ダックスは免疫疾患も多く、ワクチンの副反応も他の犬種と比べると多い印象は確かにあります。ただ、獣医師になって10年目ですが、狂犬病ワクチンでの副反応は一度も経験してません。全て混合ワクチンです。
ワクチン液が単一の感染症であること、国が管理してるものであるが故に安全性高いのかなと。— 剣 (@kenvet04038) 2019年12月11日
通りすがりに失礼します。ヒトが狂犬病を発病したら、基本的にはほぼ100%死ぬものと思ってください。万歩譲って自分が死ぬのは自業自得と諦めることができても、他人を感染させた場合は、色々耐えられないことになります。ワクチン大事。
— ジージジジ (@rTNETCsS6DX16my) 2019年12月11日