昆虫学者として本を出版し、情熱大陸にも出演した丸山宗利さん
ウナギ過剰消費問題として、きっと誰かが似たような文章を書いていると思うけど、できる限り周知すべき問題として書きました。本当は法規制しない限り、現状を変えるのは難しいとは思いますが、私の周りには食べないと決めている人が結構いて、「消費者の良心」にも少しは効果を期待しています。
— 丸山宗利٩( 'ω' )و (@dantyutei) 2016年7月10日
少し前まで、ウナギは高級な食べ物で、多くの人にとって特別な日のご馳走であった
しかし今や、コンビニやファミレス、スーパーなど、どこでも気軽に、しかも安価に食べられるようになった
土曜丑の日ともなると、日本中で莫大な量のウナギが販売、消費される
ウナギが好きな人には喜ばしいことかもしれない
しかしこれは本来、異常な事態であり、現状は様々な問題の上に成り立っている
そもそもウナギ(ニホンウナギ)は過剰な消費と環境の悪化により、全国的に激減しており、環境省の絶滅危惧種に指定されている
もはや気軽に食べてよい生物ではない
まだ商業的な完全養殖は実現できておらず、現状では稚魚を採取して、それを大きく育てるのがウナギの「養殖」である
このような状況のもと、天然資源保護のためにウナギの稚魚の漁獲量には制限が設けられているが、実情はそれを大幅に上回る数のウナギが養殖され、流通している
つまり密漁品を育てたものが堂々と市場に出回っているのである
強欲な日本人はそれだけでは飽き足らず、海外の同属種も商品化しようとし、海外のウナギ類の生息数にも悪影響を与える勢いである
私はウナギが大好きだが、もう何年も食べていない
消費がウナギの乱獲を助長し、ウナギの絶滅に加担することになるからである
もちろん、日本の大切な食文化を否定するわけではない
せめてウナギが昔のように特別な食べ物で、ウナギ専門店だけで食べるような社会になれば、きっと今のような事態は回避できるだろう
多くの企業は儲け主義で、ウナギが売れさえすればそれでいい
ウナギが今売れれば、いつかウナギが絶滅しようがかまわない
漁獲制限も見て見ぬ振りである
残念ながら、そうとしか思えない
ウナギを絶滅の危機から救うのは、現状を理解し、気軽に安いウナギを買わない消費者の良心だけである
丸山宗利