いまの状態を表現するなら、濡れた地面の下の枯れ草を這うように火が回り始めた所


たとえば、電車やレストランなどで空間を共にしたぐらいでは感染していません(市中で空気感染はしない!)。咳やくしゃみによって生じる飛沫を吸い込むことでも感染しますが、それすらも限定的な印象があります(飛沫感染はするが限定的か?)。ただし、密閉された空間に有症者と長時間いると感染するリスクが高まってくるでしょう。

むしろ、もっとも効率的に感染を引き起こしているのは、ドアノブや手すり、トイレなどに付着していたウイルスに触れて、その手を目鼻口の粘膜に付着させることで感染しているのではないかと考えられます(おそらく接触感染が主体)。

たとえば、千葉県で感染を確認された3人が、市内の同じスポーツクラブを利用していたことが分かっていますが、それぞれ利用した時間帯が異なるようです。もちろん、この施設が原因であると決めつけてはなりませんが、施設内のどこかの共用環境にウイルスが付着していた可能性が高いと思われます。

市中で空気感染しているのであれば、もっと爆発的な感染拡大となるはずです。飛沫感染が効率的に起きているのであれば、動き回る「人」により拡大するので、クラスターとしては捉えにくく、より漠然とした地域的な流行を私たちは経験するでしょう。一方、接触感染は固定された「場」において発生するので、施設とか、事業所とか、病院といったクラスターを私たちは捉えやすくなります。

まだ決めつけるべきではありませんが、政府が「対策の重点=クラスター対策」とする背景には、そうしたウイルスの特性を踏まえたものだと理解してください。そして、もしも接触感染が主体であるならば、私たちは封じ込められる可能性を捨てるべきではありません。

こう考えてみれば、どのようなイベントに感染拡大リスクがあるのか分かってきますね。不特定多数がモノを共用するようなイベントは、とくに注意が必要です。たとえば、ビュッフェ形式の立食パーティはハイリスクです。いろいろな人が同じトングを触ります。ホテルで定番となっている朝食ビュッフェも、可能であればスタッフによる配膳にしていただいた方が良いかと思います。

卒業式はどうでしょうか? そんなに皆さんが触りあうわけではありませんね。不特定多数でもありませんし、有症者を休ませることも難しくないはず。ですから、開催自体は問題はないと思います。ただし、時間短縮は検討した方がいいかもしれませんね。念のため換気を行ってください。下級生との握手やハグは避けましょう。肘と肘をタッチする挨拶を普及させましょうね。あと、トイレなど共用部分にはアルコールを設置すること。

その後の謝恩会は? う~ん、残念ですが、流行が終わってからの企画へと延期した方が良さそうです。カラオケ行ってもいいけど、なるべく少人数で行きましょう。カラオケに限らず、それぞれの事業者はマイクのような共用物品の消毒をこまめにお願いします。

映画館に行っても大丈夫ですか? 残念ながら密度が高く、時間が長いことがリスクを高めています。とくに、高齢者や基礎疾患のある方は避けていただいた方がよさそうです。スポーツジムや日帰り温泉・・・ 残念ながら接触感染のリスクが高いと考えられます。ゴルフは開放的であり少人数でのプレーですから大丈夫です。ただし、入浴は自宅までお預けですね。

いまの段階では、むやみやたらにイベントを中止していく必要はありません。ウイルスの特性を踏まえつつ、リスクの高いイベントについて中止を検討したり、不特定多数が(直接・間接に)接触する機会を減らすよう工夫してください。どうしても共用を余儀なくされる場所(とくにトイレ)には、アルコールを設置して前後の使用を呼び掛けてください。そして、密閉空間で長時間に開催されるものでは、しっかり換気してください。

最後に・・・

実のところ、現時点では、皆さんが普通に暮らしていて、新型コロナウイルスに感染する可能性はほとんどありません。ショッピングモールに行こうが、ボーリングに行こうが、まあ感染することはないでしょう。ただ、唯一、リスクある場所があります。それは病院です。だから、いまの段階で最も実効性のある感染予防とは、「行かなくていいなら病院に行かないこと」ですよ。

今後の流行状況によっては、より強力な外出自粛を皆さんに求めていく可能性があります。事態は刻々と変化するでしょう。常に新しい情報へとアップデートしていただければと思います。

新型コロナウイルス感染症対策本部(第13回)資料