#スズメバチ巣駆除薬 について、ぶっちゃけ生態系とか知らんし、そこにいて危ないから全滅したらいいだけ、「熊を撃たないで!」みたいな輩と同じような安全圏の人らがスズメバチがどうこう言ってるんだろうねえ、と仰る方向けに、懸念されるヤバいところ、の話。
— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月19日
1.オオスズメバチを駆除した場合
当の駆除薬は『黒蜜と樹液の香りで誘引』するそうだが、この香りに一番誘引されると考えられるのは深山に住むオオスズメバチ。これはスズメバチの中の捕食者としては最高位なんだが、住と食が限定されるため、人里近くにはあまり出てこない。— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月19日
この最上位者を殲滅した場合、次位の個体群が増加する。これが、キイロスズメバチ。キイロスズメバチは上位のオオスズメバチとの競合を避けるために住と食の適応を広げる(樹液じゃなくとも、生活生ごみ等にくる)という進化をした都市型といわれるもの。
— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月19日
一般に軒下や物置、天井裏に大きな巣を作って危険なスズメバチと言われているのはこちらのキイロスズメバチのほう。駆除薬で殲滅されたのがオオスズメだった場合、捕食者がいなくなったことで、生活に密着しているキイロスズメバチは確実に増える。
— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月19日
2.スズメバチ類を全駆除した場合
誘引物質がすべてのスズメバチを同等に引き寄せるものであると仮定して、種類問わず駆除したとして。駆除薬ではなくハチの営巣時に記録的な大雨が降って、巣の水没等でハチが激減したときの例だが、結果、人里に下りてくるシカやクマ、イノシシが激増した。
— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月19日
捕食者のハチがいなくなった→毛虫が大発生した→毛虫多すぎて食害で木が枯れ、どんぐり等が実らなかった→どんぐり等を餌としていた山の獣が飢えた→やむなく里に下りて餌を探すようになった、という流れ。長いサイクルではなく、一年のうちに起きたこと。
— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月19日
里に下りて、畑の実りや、人家のごみを漁ったら、山の獣はもう山には戻らない。労せずあふれるおいしいものを得ると学んだからだ。里に出てきた獣による被害は、食外も甚大で、駆除にかかる費用も多額になる。
これを、人為的に起こすことになる。— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月19日
スズメバチに刺されたら危険だろ、は解る。肌で感じて知ってもいる。目の前に飛んできたやつに殺虫剤かけたとか、軒下の巣を業者に頼んで撤去してもらった、なんてことに異を唱えるつもりは、生き物屋と呼ばれている界隈にも無い。あの生き物をきれいで不思議で美しいと心から思っているのだとしても。
— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月19日
やめろ、と強く言っているのは、あの薬剤が、ハチの行動範囲全域、山一つ、里ひとつ、生活圏には害を与えていないところまで広く覆って全滅させるものだろうからだ。生態系っていうのは数十年で緩やかに変わるものじゃなくて、今すぐそこで変わってしまう。
— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月19日
そして本当に失われてしまったら、二度と同じものは戻らない。遠い先じゃなくて、毎年そこかしこで、取り返しがつかなくなってる。タガメやアマガエルがいなくなるかもしれないなんてこと、少し昔には考える人も無かっただろう。
— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月19日
目当ての巣だけの駆除ならいいのですが、あっちこっちにばらまく人が出るのが怖いです。
この駆除剤に使われている薬剤は駆除業者さんももともと持ってるのですが、それでもあまり使わず一個一個物理的に手間暇かけて取り外してるのは、影響を最小限にするためだと思うのです。— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月20日
「嫌いだから全部いなくなっていい」でもなく、「かわいそうだから里に出てきたものもみんな山に戻してあげて」でもなく、そんなふうに、嫌っても寛容にある『正しく怖がる』ことを理解できる方が、今あるものをいちばん残せる方なのだろうなあと心底思っています。
— 玉川数 10/31『里山奇談 あわいの歳時記』発売 (@tamazzo) 2020年1月20日
作物にくる雀を殺したらイナゴにやられた国があった
— ??たろう (@V09DoaP8eqgWlMP) 2020年1月19日
軒下にスズメバチの巣ができた人が業者に相談したところ現場を見にきた駆除の人が「巣を作ってるのはキイロなんですが近くにオオスズメバチの偵察個体がいたのでほっといても大丈夫です」って言われて実際にほっといたら1週間もかからずオオスズメバチに襲われて巣は空になったってのを思い出した。
— ぱん (@CapePenguin) 2020年1月21日
駆除した方が商売になるのに
二重の意味で業者さんカッコいい?— 女トラック運転手 優希 (@yuuki__takagi) 2020年1月22日