昨年、ある雑誌社からクリエイターに送られたレターに接しました。
その内容は、クリエイターは、雑誌のために撮影した写真の著作権を雑誌社に譲渡し、雑誌社が写真を世界中で永遠に使用することに合意し、合意書にサインしろというものです。
かなり危機感を覚えてるので、少し書かせてください。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月4日
写真の著作権者は原則カメラマンなので、写真を自由に使うにはカメラマンの同意が必要です。
雑誌で撮影した場合、同意が及ぶのは、通常、掲載号の雑誌とそのデジタル版、その雑誌の宣伝(次号予告など)で使うことくらいまでかと思います(契約書はないため、合理的意思を探ることになります)。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月4日
昨今、雑誌社のデジタル化やグローバル化に伴い、雑誌社は写真や誌面をあらゆるところに自由に(一々許可をとることなく)使用したいと考えるようになってきました。
そこで、あらかじめ包括的にすべてに合意させておけばいいと考えたわけですね。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月4日
これは非常に問題です。
1本分の撮影料でカメラマンに撮影してもらった写真で、雑誌社は何度でもお金もうけできることになります。
雑誌社はその写真を広告にして、イメージアップを図り収益を上げられるわけです。
カメラマンには一銭も入らないのに。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月4日
多くの雑誌社がこれに追随するでしょう。中には最初から広告に使う目的なのに、黙って編集ページとして撮影させるケースも出てきそうです(広告の撮影料は編集ページのそれよりずっと高いので)。
こうしてカメラマンの撮影料の相場はどんどん下がります。
これではクリエイションが死んでしまう。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月4日
こうした雑誌社の対応で何が一番嫌かって、確実に相手を選んでいるんですよ。
たとえば、タレントの写真はタレント側の事情で使用期間が決まっています。雑誌社はタレント事務所には、最初のギャラだけで永遠に使わせろなんて絶対に言いません。
クリエイターならいけると思ってるのがどうかしてるわ。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月4日
さて、悩ましいのが若手カメラマンです。
若手は無料でも売り出したいと考える傾向があるので、世界中で永遠に自分の写真が使われるとなれば喜んでサインする人もいるでしょう。
でもね、その行動が業界全体を下げ、いつかは自分の首をしめることにも思いを巡らせてほしいと切に願います。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月4日
できればこのレターについては、サインしない、またはサインするなら修正してからにしてほしいですね。
または、サインするなら、最初のギャラを大幅にアップするという条件を付加してもいいかも。
いずれにせよ、もし不安なら私でも周りの方でも、ぜひ聞いてみてください。
夜分に長文失礼しました。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月4日
mototakiryuさん、ありがとうございます。
正直、悩ましいところですよね。
独禁法その他に抵触する可能性や他の事情を挙げつつ、使用範囲や期間を適切に狭めるよう説得するのが現実的かもしれません。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月4日
yamamotoさん、ありがとうございます。
使用料5000円…元編集者としては、そんなもんかな、という感想が一瞬浮かぶのが恐ろしくお恥ずかしい限りです.
本当におっしゃるとおりですね。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月4日
著作権譲渡などは、余程特殊な例外。クリエイター側も、契約に関する知識を自ら学び、契約書はきちんと確認、不利な条件は訂正してもらうなど、言うべき所は言わないと、いつまでたってもクリエイターの地位、制作単価は上がらない。
— Hitoshi Kasumi (@Hitoshi_Kasumi) 2020年1月5日
bn2さん、ありがとうございます。
おっしゃるとおり悩ましいです。
若手がベテラン等と差をつけるために、安く、または無料で引き受けてしまうことがあり、その心情は痛いほどわかるんですが、自ら業界を破壊してることに気づいてもらえるといいなと思います。
同時に若手を守るシステムも必要ですね。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月5日
伊藤さん、ありがとうございます。
それはひどいですね。
ただ、残念ながら実際は結構多いんですよね…
出版社との具体的な契約内容等によりますが、個人的には、文章を書かれていたなら文章の著作権が、編集だけでも何らか主張できる可能性はゼロではないのではないかと思っています。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月5日
そもそも、適切な対価を払わずに著作権譲渡させることは、下請法または独占禁止法違反(買いたたき、不当な経済上の利益の提供要請、優先的地位の濫用)なのではないでしょうか?私はこういった書類を受け取ったら公取委に申告しています。
コンテンツ取引と下請法https://t.co/Z6MFSCDyk5
— オオスキ トモコ (@cafe_petit) 2020年1月4日
風見鶏さん、ありがとうございます。
そうなんです! そうなんですよ!!
個人で抗うのは本当に難しいですよね…
クリエイターの意識を上げて横の協力体制を築くことと同時に、クライアント側の意識を高めることも重要だと思います。— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) 2020年1月5日