世の中には恵まれている人がいる。白金に家を持ち美しい奥さん可愛い娘二人と子犬に囲まれ出世もし善き同僚と仕事が行え老若男女から広く慕われ憧れられ頼りにされ敵らしい敵も居ず怒鳴るどころか怒ったところさえも見たことが無いという聖人のような。その時の上司がそれだった
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
前世でどれだけ徳をつんだらこうなるのか?ドラマから出てきたんかワレと思うがコレが実在するのである
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
善属性にステータス全振りした職業・御仏みたいな人物なのだがそれが今まで見たことのないこの世の終わりが来たような顔で「二人きりで話がしたい」と来たことがある。何度も書くが妻子持ちである。人払いとは穏やかではないので「ここでは出来ないですか?」と聞いたら「出来ない」と切迫した声で言う
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
非常に困った。この人に唯一問題があるとしたら異常にモテすぎていることなのだ。妻子があるし浮気をするようなタイプにはまったく見えない。なのにそこがいいのかなんでかはしらんが独身女性も夫のある奥様からもモテモテ王国なのだ。なんとかして落とそうといいよる人が多数いるしファン倶楽部もある
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
彼の前でわざわざ着替えて背中のボタンとめてくれとやっているのも見たことがある。何時代だよ。恐ろしいじゃろ。いったい何がそこまでさせるのか。ある意味本人にとってもこれは災難なので?と外野からは思うのだが、ぜんぜん気にしてないようで笑顔でボタンをとめてあげたりしている。いいひとすぎる
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
社内のボス的存在もご執心なので、そんなアイドル様にふたりきりで話がしたいなどと言われてこの先私が平穏に生き残る未来が見えない。やめてくれ。何の用かはしらんがそんな安いドラマのようなセリフを現実社会に持ち込むんじゃない。人の居る所でいいじゃないか。ここで言え!だめ?どうしても無理?
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
明日の朝から椅子に画鋲がしこまれロッカーにはトイレの水がバケツでぶちこまれそうなんですけどどうしたらいいの。しかしこの状態を人に見られる方があの人あの御方をいじめたわ。なんてひどいヤツ。とそちらで非難を浴びそうなので、どちらにしろ上履きに画鋲コースじゃないですか。やだーーー
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
君以外頼れる人がもういないとか何とかますます死にそうな顔になるからひとけのない倉庫へ連れて行った。さあなんのハナシか言うがよいです!一分一秒でも早く!と催促しても、もじもじして言わない。すごく言いにくそう。ごめんねごめんねと、内容を言う前から申し訳ながっていて話が全然始まらない
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
仕事の途中ですし、なんでもいいから早く!と強めに繰り返したら、やっと内容が始まった。「君の…」はい「君のね…」はい。君の?「君の…めんつゆ枠を、僕に譲って貰えないだろうか」
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
日本人をしばらくやっているが、これまでに聞いたこと無い日本語来ました。「めんつゆ枠」だと?「君のめんつゆ枠」ってなんですか‥‥
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
しかもひとけの無い場所へ、そんなモンのことでなぜわざわざ呼び出すねんと思ったら、彼にとっては大変な「悪事」だからのようだ。相変わらずもじもじしてるので、しゃっきりしてくれや、そのめんつゆ枠ってなんなのですか?と聞いたらやっと事情が判明した
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
スーパーでめんつゆが1人6本まで超特売価格なのだそうだ。上司は奥さんに10本買って来て。絶対に10本確保して帰りなさいと厳命されてきたそうな。だから足りない4本ぶん、君のめんつゆ枠で、僕に買わせてもらえないか?というのである。…上司、恐妻家だったんですね。愛妻家でもいいですけど
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
彼にとっておひとり様6本なのに10本買うというのが許されぬ巨悪であり、貴重なめんつゆ枠を部下に譲って貰おうとしていることも、心の底から申し訳ないことであるようで、うつむき涙目でいまにも消え入りそうになっている。どこまで善なんだ。大丈夫だぞ。めんつゆ4本でそんなに世を儚むんじゃない
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
彼の価値観の中ではめんつゆはとても貴重なようだった。その貴重なものが安く買えるというブラボーな権利は誰もが欲しくてたまらないものだと考えているらしく、私から断られるだろう。なぜなら誰にも譲りがたい枠に違いないのだから。とさえ感じているようだった
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
いや、元々めんつゆ別に欲しくないしそんなに買わないし。4本と言わず枠全部6本あげます。どうぞ。と言ったら、もう大げさでなく、うるうるしながら、どうしてこんな大切なものを全部僕にくれるの?無理してない?めんつゆだよ?いいの?と感極まったのか半分マジで泣いている
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
どういう価値観の世界線から来たのかしらんが、泣くな。いいんだ。全部持ってけ。12本買いなさい。…可哀想だな上司。めんつゆで泣くなよ
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
疑問に思ったので聞いてみる。何故そんなにめんつゆ欲しいんです?「うちの奥さん醤油を使わないの。めんつゆを何にでも使う人でお刺身もめんつゆで食べる」あー消費量が多いんですね。成程納得ですねー。ますます12本買うべき。私のめんつゆ枠は貴方が使うべき。全部あげましょう。どうぞどうぞ
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
人の貴重なめんつゆ枠を奪いおひとり様6本のところ12本もゲットした悪の上司は数年で栄転しさらなる偉い役職についた
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
海千山千の中で偉くなっても擦れることなくあの頃のままぜんぜん変わってないみたいで全国会議などですれ違ったりするとあの万人を魅了する全開の笑顔と申し訳なさそうなささやき声で私にだけ聞こえるようにこっそり「あの時は…ありがとうね」と「めんつゆ枠」の御礼を言ってくるのである。いまだにだ
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日
ちなみに私の前に、他の人に枠を譲ってもらおうとしたみたいなんですけど、あんな緊迫した顔で「ひとけのないところで話を」って切りだされたら、普通は警戒して断るわな。だから私の処へ来た時に「もう君しか頼る人が…」になったんだな
— 110 (@itoseek) 2019年3月2日