たんなる人材でなく、人財を育てるためにはどうしたらいいか

船井流の人づくりにおいて、私は一般に使われる「人材」ではなく、「人財」という言葉を使っています。

この人財というのは、たんに有能であるとか、会社の役に立つ人間であるというだけにとどまらず、「自分にそなわった独自固有の長所を活かすことで、自分を活かし、他人を活かし、世のため、人のためになるような行動ができる」人のことをさします。

では、たんなる人材でなく、人財を育てるためにはどうしたらいいか。

大きく三つの段階に分かれます。

まず、第一段階は「プラス勘定の人間にする」ことです。

プラス勘定の人間というのは、一言でいえば、人間として生きていくために最低限の正しい「クセづけ」のできた人のことをいいます。

この「クセづけ」とは、いわゆる「躾(しつけ)」のことであって、「約束を守る」とか「自主的にやる」といった、社会や会社で通用するルールや心がまえを身につけることを意味します。

ですから、人を人財として育てるためには、まず、礼儀やルールをきちんと躾けて、それをしっかりとクセづけしていく必要があります。

そのクセづけさえできれば、あとは好きなことを自由にやらせればいい。

そうすることで、学び好き、働き好きで、プラス発想グセのついたプラス勘定の人間が育っていきます。

第二段階は、「人間性を高める」ことです。

これには、「与え好きの人間にする」のがもっとも効果的といえます。

「いまだけ」「自分だけ」という狭い我欲から離れて、他人の利益や幸福も視野に入れた、もらうよりも与えることに喜びを感じる利他的な考えをもたせるのです。

あるいは物事を根源からマクロにつかみ、ミクロに対処するように仕向ければ、その人はもらい好きから脱皮して与え好きの人間へと成長していき、おのずとその人間性を高めていくでしょう。

第三段階は、「独自固有の長所を伸ばして天才にする」ことです。

人はだれでもそれぞれの固有の長所というものをそなえています。

それを見つけて、認め、ほめ、伸ばしてあげる。

すると、その人は自己のもつ最大限の能力を発揮するようになります。

自己のもてる能力を最大限に発揮できる人。

そいう人はみんな天才と呼ぶにふさわしい人間なのです。

http://ameblo.jp/hiroo117/より
船井流の『新入社員に施した五つの「クセづけ」』というものがある。

1. 約束を守る

2. 自主的にやる

3. 逃げない

4. 自慢しない

5. 人の足を引っ張らない

そのために大事なことは、「自分に起きることは、よいことも悪いこともすべて必然、必要である」と考えて他人に責任転嫁せず、事態を受け入れて、自己責任のもとで行う、ということ。

これこそが、人づくりの原点だという。

そして、これらを身につけることを舩井氏は、「躾」と呼んでいる。

また、「与え好きな人」とは、利己ではなく利他の人。

これは「お金や贈り物を与えること」とすぐに思ってしまうが、「自分の知っていることを惜しみなく教える」とか、「明るい笑顔」「気持ちのよい挨拶をする」「席をゆずる」等々の行為もある。

要するに、ケチくさい人間は嫌われるということ。

自分のことばかり考えている人間は、「人間性が低い」。

人材ではなく、人財になりたい。