雪崩の正しい対処

雪崩から生還するために~意志決定の際に忘れてほしくないこと~
雪崩事故の9割が、犠牲者あるいはその仲間の誘発による雪崩です。積雪不安定性にかかわる重要な情報を見逃さず、慎重に地形を選び、グループの行動を統制することが、雪崩に遭遇する可能性を低くし、もし事故となった場合でも、その被害を軽減させる鍵となります。安全は、あなた自身に掛かっているのです。

重要な情報を見逃さないように

1. 真新しい雪崩
真新しい雪崩を発見したら、それは積雪が不安定であることの明らかな証拠です。同じ標高、方位、地形形状で、雪崩は発生しうる状態にあると考えてください。

2. 重要な不安定性の兆候
スキーの先端から雪面に走る“シューティング・クラック”や足元の積雪内から聞こえる“ワッフ音”などは積雪が不安定性あることの重要な情報です。

3. 24時間以内の多量降雪あるいは降雨
直近のまとまった降雪や降雨は積雪を不安定にさせます。吹雪後の晴天は、積雪が安定していることを意味しません。

4. 雪を移動させる風
風で移動した雪は、風下斜面に危険なウインドスラブを形成します。降雪がなくとも移動可能な雪があり、それを移動させる強さの風が吹けばウインドスラブは形成します。

5. 顕著な高温あるいは急激な気温上昇
顕著な高温や気温上昇は雪の変形速度を速め、積雪を不安定化させます。

6. 持続型弱層の存在
もし、積雪内に持続型の弱層が存在する場合、吹雪の直後でなくても誘発の可能性が生じます。その判断は難しいので「雪崩情報」や「雪の掲示板」を見るようにしてください。

最も大事なことは雪崩に流されないこと

1. もし雪崩に遭ったら

発生に気づいた瞬間に叫ぶ
動き出すスラブの中心から外へ逃げる
雪崩の表層に留まれるように努力する
アンカーとなるストックなどを捨てる
エアポケットを確保する
埋まったら仲間を信じて穏やかに待つ

2. 仲間による捜索
時間がすべて(助けを呼びに行く時間はない)
最終目撃地点を確定する
自分達の安全の確認(二次被害がないように)
リーダーを決め、ビーコンを切り替える
雪面にある残留物を探し、必ず確認する
ビーコンで捜索し、効果的に掘り出す
犠牲者の保温に努め、ファーストエイドを実施