お父さんが孫に残してくれたもの『100円玉の使いみち』

亡くなった大切な人への想いを綴った手紙を募集するプロジェクト「つたえたい、心の手紙」
その受賞作品が鉄拳によってパラパラ漫画化されました。お手紙の中から『100円玉の使いみち』をご紹介します

きらきらのシール3枚、サメの歯、シリコン素材の不思議な粘土……これらが、お父さんが孫である私の娘(もうすぐ5歳だよ)にくれたプレゼントです。
 
お金の出処はどこでしょう? と言っても天国からお見通しだろうから、そのお金を使おうと思った心境の変化を記します。

私が12歳のとき、胃がんで闘病中の45 歳のお父さんは、亡くなる数か月前に、貯金箱にためてた100円玉を私にくれたでしょ?

死期が近いことを悟ってたんだろうね。

100 円玉は1万8千円分ありました。

お父さんが亡くなったあとお母さんは「銀行に貯金したら?」と言ったけど、私はなんとなくそのままにしておいた。

そして、免許を取るとか、成人式とか、そういう記念になることに使おうと思ってたんだけど、大量の100 円玉ってなかなか使う機会がないのよ。

そして28年経って、12歳だった私は39歳になり、私の娘は5歳になり、今年の夏、テレビのニュースを見ながら、「お墓って何?」「お盆って何?」などと言うようになった。

感慨深いよ。

そして、良い機会だと思い、人が「死ぬ」ということを、私の言葉で説明してみました。

「死ぬとご飯が食べられないし、もうしゃべれない。お母さんのお父さんは、お母さんが子どものころ死んじゃった」

すると娘は「お母さん、かわいそう」って。

子どもなりに、人の死を理解しつつあるんだなぁと感じたので、ここであの100 円玉の登場だとヒラメイタわけ。

子どもの欲しがるものを購入するには、100 円玉はうってつけだからね。いいアイデアでしょ?

そもそも、あまりおねだりをしない子なんだけど、ときたま欲しがるものを
「おじいちゃんから預かっておいたお金だから、心の中で、おじいちゃんに『ありがとう』って言ってね」と話しながら、ちょっと古くなった100 円玉を使ってます。

今、900円使いました。当面、あのときのお金が、孫を喜ばせてくれそうだよ。

ありがとう。それではまた。

(東京都 39歳 多田 映子様)