おとさんから娘への手紙

キミヘ

いつだったか
「おとさん幸せってな~に?」
「どうすれば幸せになれるの?」
そう聞いてくれたことがあったよな。

幸せについて、おとさんなりに思うコトは
たくさんあるけどな

〝何がキミにとって本当の幸せか?〟

それは正直おとさんにも分からないんよ。
だからあの時「分からない」って言ったんよね。

でも、おとさんはそれでいいと思っとる。
誰かの答えの中に、キミの幸せは決してないからね。
キミの幸せはキミ自身が見つけ、気づき、
そして感じるモノなんや。

これまで、人生や人間関係について、
色んなことをいっぱい一緒に考えてきたよな。
いつもハッと考えさせられるようなキミの質問に、おとさんなりの答えを一生懸命伝えてきたつもりだけど、
「幸せとは何か?」
「どうすれば幸せになれるのか?」
その答えだけはね、
キミが自分自身で見つけていきなさい。

いずれ社会に出れば、色んな人に出会い、
また色んな言葉や考え方にも出会うと思う。

夢を持ちましょう。学校へ行きなさい。
結婚しなさい。子供を産みなさい。
我慢しなさい。人を嫌ってはいけません。
好き嫌いをしてはいけません。
怒ってはいけません。
離婚してはいけません。
感謝をしなければいけません。
女性とはこうあるべきです。
妻とはこうあるべきです。
母とはこうあるべきです。
子育てとはこうあるべきです。

そんな〝常識〟と呼ばれるモノや、
〝正解〟と呼ばれるモノに出会うと思うけど、
決して〝正解〟は1つだけじゃないからね。
世間の常識に囚われ過ぎたり、
他人の正解の中に、
自身の幸せの答えを探さなくていいんやで。

君の幸せの答えは〝外〟にあるのではなく、
いつも〝君の中〟にすでにあるというコト。

もし、色んな言葉を目にしたり、色んな声を耳にして、迷ったり、悩んだり、どうしても分からなくなった時はね、

そっと目を閉じて、
自分の心をまっすぐに見つめなさい。
そっと耳を閉じて、
自分の心の声に耳を傾けなさい。

そしていつもおとさんに投げかけてくれていた〝質問〟を自分の心に問いかけてみなさい。

「私は本当はどうしたい?」
「私にとって本当の幸せってな~に?」

その質問こそが、キミの心をいつも幸せに導いてくれるコンパスとなるからね。

人生を創っていくのは〝正解〟じゃない、
自身に投げかける〝質問〟が自身の人生を創っていく。

シックリくる心地良いお気に入りのTシャツのように、きっとキミにとって心地良い、キミだけの〝幸せの答え〟とキミが出会うことを、おとさんはいつも見守っているからね。

おとさんより

高島大「ねえねえ、なんで?」ワニブックスより