怒りの感情は「90秒」で血中からなくなる

人ですから、ついかっとなってしまうこともあるでしょう。

部下が生意気だったり、上司が言うことをころころ変えたり、子どもがどんなになだめても泣き止まなかったり、夫婦ゲンカでイヤなことを言われたり・・・・・・。

そんなときは、90秒だけどこかへ避難してしまいましょう。

神経解剖学研究者であり、ハーバード大学医学部で脳と神経の研究に携わるジル・ボルト・テイラー博士は、脳卒中によって脳内出血を起こした際、自身の体がどう変化していったかを科学者として観察し、8年ものリハビリを乗り越え、見事に回復を果たしたあと、その体験をTEDでスピーチし、多くの人に知られた人物です。

博士は自身の著書「奇跡の脳-脳科学者の脳が壊れたとき-」(新潮社)の中で、このように言っています。

「自発的に引き起こされる(感情を司る)大脳辺縁系のプログラムが存在しますが、このプログラムの一つが誘発されて、化学物質が体内に満ちわたり、そして血流からその物質の痕跡が消えるまで、すべてが90秒以内に終わります。

たとえば怒りの反応は、自発的に誘発されるプログラム。

ひとたび怒りが誘発されると、脳から放出された化学物質がからだに満ち、生理的な反応が引き起こされます。

最初の誘発から90秒以内に、怒りの化学的な成分は血液中からなくなり、自動的な反応は終わります。

もし90秒が過ぎてもまだ怒りが続いているとしたら、それはその回路が機能し続けるようにわたしが選択したからです」

怒りの感情は「90秒」で血中からなくなるというわけです

つまり、その90秒をやり過ごすことができれば、落ち着いた対応が可能になるともいえます。

かっとなって部下を怒鳴りつけそうになったり、子どもに手をあげそうになったら、まずはその場を離れて言ちろん、子どもの様子は見える場所に)、ゆっくり深呼吸をしてください。

お水を飲んでひと息つくのでもいいでしょう。

90秒経って落ち着いたら、戻って問題に向き合いましょう。