熊本のために走り続ける巻誠一郎

日刊スポーツより
サッカー選手・J2熊本FW巻誠一郎(35)が熊本のために毎日活動しています。

4月16日に熊本地震の本震が発生。
巻さんの実家も震度6強で激しく揺れて津波注意報が発令されました。

そのため、高台に逃れる一本道がパニック状態の避難民で渋滞に。

「自分がやるしかない」

巻さんはストライカーならではのとっさの判断で夜道に立ち、声を張り上げ、身ぶり手ぶりで山頂近くの運動場へで乗用車を誘導しました

おかげで渋滞は解消。

翌日からは、全国に呼び掛けて支援物資を募集。

あっという間に倉庫は物資で埋まり、マットレスなども数千枚集まります。

5月5日は益城町の避難所へ

「こどもの日だけん、ケーキ持ってきたよ!」

「子供のような心を持った大人も、食べてくださいね!」

「ここは空調なくて熱くなるけん、熱中症予防!」と言って、お年寄りに塩分補給できるあめを配って回る。

「サインほしいな」という子には
「ユニホームあるよ!クルマにあるけん、取ってくるよ!」

敷地内を走り、レプリカユニホームを持ってきて、その場でサインをしてプレゼント。

「僕もほしい」「あるよ!」

「塩あめほしいな」「あるよ!」

クルマに走れば、水のいらないシャンプー、歯ブラシ、青汁、発電ライトもあります。

「サッカーやりたい」という子にも「あるよ!」

ボールにビブス、空気を入れて膨らませて使う小型のゴールまであるので、一緒にサッカーもできる。

巻さんのチームは2日から、全体練習を再開。

9時半開始、11時過ぎに終了。

汗だくになった巻さんは素早くシャワーを浴び、身体のケアを済ませると、段ボール箱を抱えて車に乗り、みんなにプレゼントできるサッカーグッズを持って、午後からの避難所めぐりに向かいます。

巻さんには全国からの物資提供の申し出・避難所からのサッカー教室の依頼・支援活動について連絡が、一日中ひっきりなしに続く。

昼食の時間は、練習中に溜まっていたメールやLINEに返信。

巻さんの車には後部座席からトランクにかけ、ぎっしりとモノが詰め込まれています。

1日に避難所を3、4カ所回り、被災者と話をするたび「これがあったら便利なんだろうな」というものが車に積まれていきます。

5月6日
避難所となっている体育館で、サイン入りTシャツを配っている時も地震が発生

「お、揺れたね。震度4までは、何とも思わなくなっちゃいましたね。いいことじゃないかもしれませんけど」

Tシャツを配る手は止まりません。そうやって支援活動を続けるうちに、1日が終了。

巻さんはオシム監督の言葉を今でも覚えています

「巻には巻にしかできないことがある。いつもそうやって励ましてくれました。その言葉は、今の自分も励ましてくれるんで。正直、ゴールは見えません。でも、やり続けるしかない。オシムさんは『考えながら走れ』とおっしゃってました。今は走りながら考える。待っていても、何も変わりませんから」