東京駅の大丸でやってるアートギャラリーでとんでもないやつを見た

千円札解説

タイトル
埋葬の解剖学 (It’s Only a Paper Moon)
Anatomy of Burial (It’s Only a Paper Moon)
サイズ h.91×w.178.5cm.
ペン、クラシコファブリアーノ紙、パネル
pen on classico fabriano, mounted on board

千円札のイメージをキャラクターの集合体によって再現した作品。アーティスト赤瀬川原平の『復讐の形態学(殺す前に相手をよく見る)』という作品のオマージュである(フェア会場ではあまり気付いてもらえなかったが)。この作品は当時の聖徳太子千円札を三六判(約180×90cm)ほどの大きさに拡大してペンで模写した作品で、有名な千円札裁判にもなった原寸大模造千円札の源流になった作品である。(私の絵も本作品にあわせてこのサイズにした)。赤瀬川氏は千円札を執拗に観察し、緻密に模写することで、権力の象徴としての紙幣というものの価値を殺そうとした。しかし約半世紀が経過した今日において、キャッシュレスや仮想通貨の台頭によって、紙幣の象徴性や神話性は既に死んでいるとも言える。死んでしまった千円札を私のスタイルでリプロダクト(解剖し埋葬する)し赤瀬川版千円札と対比させることで、時代の変化による紙幣価値の移り変わりを表した。
副題のIt’s Only a Paper Moonは90年近く前の流行曲から拝借。天下の回り物と言われるように人や社会の周りを回り巡っている貨幣を地球のまわりを公転する月に見立てた。まさに紙幣とは紙の月であろう。

そしてこの解説を書いているまさに今、紙幣のデザインを一新するという一報が…なんちゅうタイミングや…死んだと思って埋葬した紙幣だったが、ゾンビになって甦るのだろうか?