【食べ物を肌に塗っちゃダメな理由(経皮感作のはなし)】
食べ物を肌に塗ることで食物アレルギーを発症してしまうことがあります。最も有名な事例が「茶のしずく石鹸」でしょう。
これは2011年ごろに当石鹸で洗顔を行っていた人が次々に重篤な小麦アレルギーを発症した、というものでした。
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
本石鹸に添加されていた小麦の加工物「加水分解コムギ」というタンパク質にアレルギー反応を起こし、結果今まで普通に食べることができていた人たちが小麦食品までも、ある日突然摂取すると重篤なアレルギー症状を起こすようになってしまったのです??????????????
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
似たような話で、魚屋で働いている方は水仕事で手がよく荒れます。その手で魚を日常的に扱うことで大人になってから魚アレルギーを発症する方が多いのです。
他には医療者がゴム製の手袋でラテックスアレルギーを、女性が口紅のコチニールという色素から赤色の食べ物のアレルギーなども有名です。
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
この肌に触れたものから食物アレルギーを発症してしまう現象を「経皮感作」と言います。
人間の体には「異物を排除しようとする働き」と「異物を受け入れようとする働き」の両方が働いています。
このとき、原則として消化管から取り込まれた食べ物は受け入れるほうへ働いています。逆に、
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
肌、特に炎症のある部分から侵入してきた異物に対しては排除しようとするほうへ人間の免疫系は働きます。
これらの現象を、前者を【経口免疫寛容】後者を【経皮感作】と呼びます。
少し昔前に「子どものアレルギーが心配な人は離乳食を始める前にその食べ物を口の周りや膝の裏などに塗ってみて」と
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
呼びかけるようなツイートが話題になりました。これは医療者ではない一般の方のツイートで「食アレが心配な方はぜひ試してみて!繰り返しこれを行ってるとだんだんそれを食べて大丈夫かどうかがわかるようになるから。赤くなった食べ物は3歳くらいまで食べちゃダメ」という内容で、もちろんこれは
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
先ほどの「経口免疫寛容」と「経皮感作」の考えからすれば明確に「良くない方法」であると言えます。当時、私も含めた多くの医療者が訂正ツイートをしましたが、賛同コメントが殺到してたので、その方たちがその後どうなったのか心配です????
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
また、最近よく言われる
?食物アレルギーは症状が出ない範囲で少量ずつ摂取し続けることで、食べても大丈夫な量が増えたり症状が出ることを押さえることができる
?幼少期からのスキンケアで肌の良い状態をキープし続けることで食物アレルギーを発症する確率が下がる
も同じ理由なんですね。
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
というわけで【食べ物を肌に塗ることが良くない】の理由でした。
よくわからない化学薬品よりも天然の食べ物(野菜とかハチミツとか)のほうがいかにも「体に良さそう?」と思っちゃいますよね。めっちゃ気持ちわかります??ですが、イメージではなく正しい知識で判断し行動することが大事ですよー??— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
えっと、まず多かった質問「子どもが小麦粘土で遊ぶのは大丈夫か?」ですが、ポイントは
?肌の状態が良好かどうか
?それに触れる時間と頻度です。
どういうことかもう少し詳しく解説すると、
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
肌の状態が良くない(=炎症がある)部位に食物が頻回に触れるということは、
『ある凶悪事件があって、調査を進めていくと、どうやら事件の数日前からその付近で怪しい人物がうろうろしていたらしい。なので警察がその人物をマークしている』
というイメージが分かりやすいでしょうか。
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
つまり、炎症の部位にある食物が頻回に接触していると、たとえそれが無関係であったとしても体はその食物を炎症を起こした犯人と勘違いして異常な警戒態勢をとって次に備えてしまうわけですね。
なので「肌の状態の良い子がときどき小麦粘土で遊ぶ」程度ではそれほど小麦アレルギーのリスクには
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
ならないと考えますが、じゃあそれはどれくらいの肌の状態でどれくらいの時間なら危険なのかとかまでは「わかりません」ので、心配であればぜひとも小児科を受診して実際の診察を受けるようにして下さいね。
ちなみに「すでに小麦アレルギーがある子」が小麦粘土で遊ぶのはもちろんダメですよ??
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
もうひとつ多かった「◯◯という製品は大丈夫か」系の質問。これも個別に答えるのは難しいですね????
ポイントは「その製品にアレルゲンとなるタンパク質がどれくらいの量含まれているか」と「その使用頻度」です。食品の加工の仕方や精製度合いでリスクは大きく変わると思います。
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
なので、何かの食品の成分が含まれていたとしてもアレルギーを引き起こしにくい商品もたくさんあります。
少なくとも食品そのままを普段のスキンケアに使用するのはオススメしません。某美容系インフルエンサーで小麦粉パックとかキュウリパックとかが紹介されてましたね。ああいうのです????
続— Dr.リノ?? (@awaguni_deko8) June 29, 2022
『小麦粉パック』を調べると、看護師YouTuberの関根りさ氏が紹介して80万再生なんですね…
「小麦成分を含む石けんの使用者が小麦アレルギーを発症した」「小麦成分を肌荒れマウスに塗ったら小麦アレルギーになった」との報告があります。
食べ物でパックするのは危険なので真似しないで下さい?? https://t.co/7RmFdDefg1 pic.twitter.com/2wJkrOMIs5
— やさひふ|皮膚科専門医|医学博士|Lumedia編集長 (@S96405539) April 28, 2022
そばアレルギーを発症したため商売替えしたケース。
これは苦渋の決断だったことでしょう。https://t.co/gJxwepIgfr— あくつ (@acts_labo) June 29, 2022
叔父の転勤で北陸に引っ越してエビの殻剥きのパートしていた叔母はエビアレルギーになりました。
ただし、触るとかぶれますが、食べる分には全く問題ないとのことで、「お土産にみんなが好きな甘海老たくさん持ってきたよ?!さあ、私は触れないから、私の食べる分剥いてちょうだい!」— 猫顔娘々 (@XbyXPmMT5WtxEmX) June 29, 2022
私は赤ちゃんの頃に米ぬかで体を洗われ、真っ赤に腫れ上がり、米ぬかアレルギーになりました。米ぬかそのもので洗ったり米を研いだ汁を塗ったりするのはやめた方が良いです。大人になってからは米研ぎは道具を使うか手袋をしてじゃないとできません。米を食べたり糠漬けを食べることはできます??
— chicchi/ff14 (@fffrnrn) June 29, 2022