なぜ若年層での全国大会を行わない方がいいのか三つの理由で説明します

当時中学2年生の柔道部部長の男子生徒が、部活動中に中学1年生の女子生徒に対して暴行を行ったとされ、その後この女子生徒は急性硬膜下血腫で倒れた。

この日は土曜日で授業がなく、女子生徒は朝から柔道部の練習に参加していた。正午頃、女子生徒の具合が悪いと柔道部の副顧問から連絡を受け学校に駆けつけた女子生徒の母親に対し副顧問は、女子生徒は休憩中に倒れたが頭は打っていないと説明。郡山市の総合病院に搬送された女子生徒は頭部左硬膜下出血と診断され、8時間に及ぶ手術は成功したものの意識不明の危篤状態が続いた。執刀医は校長に対し、女子生徒の頭部には気を失うほどの衝撃を何度も受けた跡があり、柔道の練習とは思えない異常な行為があったと厳しく叱責した。

女子生徒の担任は同級生や保護者に入院の事実を知らせず、怪我の程度も軽く伝えていた。また両親は女子生徒の友人に見舞いに来てもらうよう学校側に依頼していたが、校長は母親が見舞いを望んでいないと嘘の報告をしていたため訪れる生徒はいなかった。一方で校長は、練習に問題はなく他に原因があるのではないかと繰り返していた。10月24日に部員の保護者を集めて行われた説明会で、校長は「女子生徒が入部以前から持っていた頭部の病気が練習で発症した。部は怪我をするような練習はしていない」と発言したが、女子生徒にそのような持病はなかった。また学校側は、女子生徒が危篤状態にあることも知らせていなかった。

2ヶ月ほど経った頃、事故の原因は部長の男子生徒のいじめだとする投書が女子生徒の自宅に届いた。2004年2月、同様の噂が流れていることを知った父親は校長に原因と改善策の説明を求めたが、校長は原因が分からないので謝罪はできない、練習方法に問題はなかったので改善策も考えようがないと返答し学校の責任を否定。これに納得できない両親は、学校が提出した事故報告書の開示を須賀川市教育委員会に請求した。

報告書

学校は当日の練習経過をまとめ「生徒傷害事故発生報告」と題した報告書を事故の4日後に提出。この中で学校側は、練習中における頭部打撲が原因と推定。練習開始から約2時間後の10時50分から乱取りが始まり、女子生徒は二回目の乱取りから「元立ち」役を務めていたが、その際に受け身が取れず頭を打った。その後、足が痛いと言って泣き出し練習を休んでいた11時55分頃、しゃがみ込んで大声で泣き出し倒れたとしている。

報告書の内容について母親は、事実誤認として次の点を挙げている。

・学校に駆けつけた時間が実際より遅く記載されている。
・9月12日の練習中に頭を打ち脳内出血で入院し、退院後に練習に参加しようとした女子生徒に対し顧問が休養を勧めたところ、女子生徒と母親の強い要望で練習を再開したとされているが、そのようなアドバイスは受けていない。
・母親が「今回の事故について柔道部、柔道部員の責任でもないし、学校の責任でもない。こんなに激しく頭をぶつけたことはない。柔道部員の保護者や先生方に心配をかけて申し訳ありません」と他の部員の母親に電話で話したとする内容はまったく記憶にない。
・医師の見解には「『だいぶ以前に』何度か頭を打って脳挫傷になっていた。『最近のものではなく』だいぶ前に頭をぶつけた痕跡があり、過去何度か頭をぶつけたと思われる」とあるが、女子生徒が中学入学前から頭をぶつけていたという事実はない。

母親からの抗議を受け学校側は報告書を再度提出したが、ここでも母親が言っていない証言が記載されていた他、救急車を呼んだ時刻も修正されていた。

事故後の女子生徒

中学を卒業し郡山市の郡山養護学校(現・郡山特別支援学校)に入学。自宅で週に数回の訪問授業を受けるうちに容態が回復し、呼びかけや匂いなどに反応を見せるようになる。2007年10月にはヘルパーの協力を得て修学旅行に参加し、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどを見学。2009年3月、郡山養護学校を卒業する。その後も意識不明の状態は続き、自宅で介護の日々であったが、2018年9月12日に急性気管支性肺炎で亡くなった。27歳だった。