アーノルド・シュワルツェネッガーからロシア人へのメッセージ

皆さんこんにちは、この動画を見てくれてありがとう。

ロシア人の友人たちやウクライナで活動しているロシア人兵士にこのメッセージを伝えたい。

君たちにこのメッセージを贈るのは、君たちが知るべき酷い出来事があるからだ。

厳しい現実をお伝えする前に、私のヒーローであるロシア人について話そう。

1961年、私が14歳の時、友人と一緒にウィーンに重量挙げの世界大会を見に行ったんだ。

その時私は観客の一人として、ユーリ・ウラソフが人類史上初めて200kgを持ち上げて優勝したのを見たんだ。

競技が終わった後、私は地球上で最も強い男に会いに行った。

信じられなかったよ。

彼は握手をしようと手を伸ばしてくれた。

彼の手は大きく、少年の私の手をすっぽりと覆ったんだ。

彼はとても親切で、私に微笑んでくれた。

あの日のことは決して忘れないよ。

その後、私は刺激を貰う為に彼の写真をベッドの上に飾り、私自身も重量挙げを始めたんだ。

父はその写真を剥がして、ドイツかオーストリアの英雄を探せと私に怒鳴った。

父は怒りっぽくて、私たちは常に喧嘩をしていた。

父は第二次世界大戦の経験者でロシア人が大嫌いだった。

父はレニングラード近郊で負傷し、彼が従軍していたナチス軍はその都市やその住人たちに取り返しのつかない損害を与えた。

そんな父の主張にも負けず、私はその写真を壁に貼り続けた。

ウラソフ(ロシアの軍人)がどちらの国の旗の下で戦ったかなんて私にはどうでもいいのだ。

ところで、私とロシアとの繋がりはそれだけじゃない。

ボディビルや映画の撮影でロシアに行き、ロシアのファンに会うと更にその絆は深まった。

そしてその中でユーリ・ウラソフとも再会したんだ。

アメリカ映画で初めて赤の広場(モスクワにある広場)での撮影許可を得た映画『レッドブル』(原題:RedHeat)の撮影のためだ。

彼と私は一日中共に過ごした。

彼はとても思慮深く、親切で、頭が良く、そしてもちろん気前が良かった。

彼は私に美しいブルーのカップをくれて、私は今でも毎朝そのカップでコーヒーを飲んでいる。

私は14歳の時から、ロシア人に愛情と尊敬の念を抱いてきた。

ロシア人の強さと優しさはいつも私に勇気を与えてくれたんだ。

だからこそ、ウクライナでの戦争とそこで起こっている真実について語ることを許してほしい。

自分の政府に対する批判を聞きたがる人はいない。

それはわかっている。

しかし君たちロシア国民の友人として、私が話すことを聞いてほしい。

アメリカ政府を転覆させようと群衆が国会議事堂を襲撃した2021年1月6日について、私はアメリカ国民に心からの懸念を持って話をしたことを思い出してほしい。

決して黙っていられない間違った瞬間というものがある。

それは君たちの政府に関しても同じだ。

君たちの政府は、この戦争がウクライナの非武装化の為だと言っているのは知っている。

ウクライナのネオナチ化だって?

そんな事ある訳ない。

ウクライナの大統領はユダヤ系で、彼の父親は兄弟をナチスに殺されたんだ。

ウクライナがこの戦争を始めた訳じゃない。

ナチスやレイシストが始めたのでもない。

クレムリン(ロシアの大統領官邸)の権力者たちが始めたのだ。

これはロシアの人々の戦争ではありません。

それは決して違う。

事実を教えてあげよう。

先週、国連の141カ国はロシアを侵略者と認めロシア軍の即時撤退を要求する投票を行った。

全世界のうち、ロシアに賛同したのは4カ国だけだ。

世界はウクライナでのロシアの行動によって、ロシアにNoを突き付けたんだ。

病院や産院を含む近隣地域全体がロシアの砲撃や爆撃で破壊されている。

女性や子ども、高齢者を中心とした300万人近いウクライナ難民が国を離れた。

更に多くの人々が去ろうとしている。

これは人道的危機である。

その蛮行によって、ロシアは今世界から孤立している。

更にこの戦争がロシアにどのような結果をもたらすのか、君たちは真実を知らされていないのだ。

何千人ものロシア人兵士が犠牲になったことを、哀悼の意を表してお伝えす」る。

彼らは祖国のために戦うウクライナ人兵士と、侵略のために戦うロシア人指導者の間に立たされたのだ。

罪のない人々に向けて投下されたロシアの爆弾は、史上最悪の世界的経済制裁が課されるほど世界を怒らせたんだ。

戦争ではあらゆる人々が苦しむことになる。

ロシア政府は国民だけでなく、兵士にも嘘をつく。

ある兵士はナチスと戦うと言われ、ある兵士はただ演習に行くだけと言われ、ある兵士はウクライナにいるロシア人を守る為に戦うと言われた。

自分たちが戦争に行くことすら知らなかった兵士もいた。

これらは全て嘘だ。

今ロシア兵は、国や家族を守ろうとするウクライナ人の必死の抵抗に遭っている。

これが事実だ。

小さな子供たちが廃墟から引きずり出される様子を見ていると、私は第二次世界大戦の惨状を描いたドキュメンタリーを見ているような気持ちになる。

私の父がレニングラードに到着した時、彼は政府から嘘を吹き込まれていた。

そして彼がレニングラードから去る時、肉体的にも精神的にも壊れてしまった。

彼は残りの人生を痛みとともに過ごした。

背中の骨折や榴散弾による痛みはいつも彼にあの恐ろしい時代を思い出させた。

罪悪感からくる痛みだ。

これを聞いているロシア兵の皆は、私が話している真実の殆どを既に知っているだろう。

自分の目で見てきたはずだ。

私の父のように、君たちには壊れてほしくない。

これは君たちの祖父や曾祖父が戦ったような、ロシアを守るための戦争ではない。

これは違法な戦争なのだ。

全世界から非難される無意味な戦争のために、君たちの命や、手足、未来が犠牲になっているのだ。

クレムリンにいる権力者たちに問いたい。

何故お前たちの野望のために、若者が犠牲にならなければいけないのだ?

私の話を聞いている兵士たちは、1100万人のロシア人の親族がウクライナにいることを思い出してほしい。

君たちが撃った弾丸は全て誰かの兄弟や姉妹に当たる。

空から降ってくる爆弾や爆薬は全て敵ではなく、誰かの兄弟や姉妹がいる学校や病院や誰かの家に落ちてくる。

ロシア国民は、今何が起こっているのか分かっていないことを知っている。

私はウクライナのロシア国民とロシア兵に、ロシア政府が言う事は全てプロパガンダと偽情報であることを理解して欲しい。

そしてこの真実を広めることに協力してほしい。

自国の同胞にウクライナで起きている破滅的な状況を伝えてください。

そして、プーチン大統領へ。

これは君が始めた戦争で、君が先導している戦争で、君が止めることができる戦争だ。

最後に、反戦を唱えている全てのロシア人にメッセージを贈るよ。

世界は君たちの勇気を目撃した。

我々は君たちがその勇敢な行動の結果、苦しんでいる事を知っている。

拘束され、投獄され、殴られ傷付いている人もいるだろう。

君たちは私のヒーローだ。

ユーリ・ウラソフにも負けない力強さを持った君たちこそ、ロシアの真の心だ。

親愛なるロシアの友人たちよ、君たちに神のご加護があらんことを。