救急車は病院から来ていると思っている人が意外と多い

世界で最初に組織的な救急業務が始まったのは、1881年(明治14年)ウィーンでのことです。その後、ベルリン、ロンドンなどでも開始され、徐々に世界中に広まっていきました。今では、世界中で救急業務の制度が確立されて救急車が活躍していますが、その実情は都市によって異なっています。

例えば、ニューヨークの場合、救急車は公営のものと民営のものがあり、いずれも有料でおよそ300ドルの費用が掛かります。パリでは、フランス全土をネットワークで結ぶ公営の医療援助体制があり、全国の共通番号(日本の119のようなもの)に電話を掛けると、救命装置が装備された救急車に医師が同乗して駆けつけます。30分あたり約6,500ユーロの料金は利用者が支払い、後日、保険で精算されます。

このほかにも、公営の救急車が有料で運用されている国は少なくありません。ドイツのフランクフルトの場合は日本円で2万2,000~7万3,000円程度です。オーストラリアのシドニーは、基本が約1万1,000円で、走行距離1キロメートルにつき約300円追加されます。中国では、北京で走行距離32キロメートルまでは約1,700円、以降1キロメールにつき約80円が加算されます。

一方、日本と同じように公営の救急車が無料なのはイタリア(民営もあり、この場合は有料)です。また、イギリスではロンドンに公営と民営の救急車がありますが、公営の場合は無料となります。ただ、日本に比べると救急病院の数が少ないために待ち時間が長く、命にかかわる症状でない場合には対応も迅速ではないようです。シンガポールでは事故の場合は無料、病気の場合は約2,000円の料金が掛かります。