奈良公園の鹿の健康状態について

すでに改善の兆しも見え始めている。シカのふんは黒くて丸い粒状なのが正常だが、コロナ禍以前の奈良公園には、ゆるい状態のふんがそこかしこに落ちていたという。奈良の鹿愛護会の丸子理恵獣医師は「鹿せんべいや人間のお菓子をたくさん食べ、腸内細菌のバランスが崩れると、ゆるいふんをすることが多い」と話す。偏った食生活でおなかを下すのはシカも人間も一緒らしい。現在はゆるいふんはかなり減っており、シカの健康状態は総じて良くなっているようだ。

一方、人から餌をもらえなくなったことでやせ細ったシカもいる。立沢助教によると、奈良国立博物館周辺などの観光客が多かったスポットには、草を食べるでもなくうろついているシカがおり、そうした個体の一部は「鹿せんべい依存症の可能性がある」という。

以前の調査では、せんべいを1日200枚以上食べていたシカもおり、「人から餌をもらって食べるのが当たり前になって、環境の変化に適応できないのかもしれない」と立沢助教は推測する。