どうか、全国の医療関係者への偏見や差別の目がなくなりますように。

訪問を終えて車に戻ろうとした時、車に書かれた社名を見ている人がいました。

どうしたのか尋ねると、
「訪問看護と書いてある。お前は看護師か」と聞かれました。

肯定すると顔つきが険しくなって、
「なぜ看護師が外を歩いている」
「お前のせいで感染が拡がるだろう」と。

まずは訪問看護がどんなものかを丁寧に説明しました。

それでも顔つきは変わらず、
「そんな事は知らない。看護師が外を歩くなんて言語道断だ」と言っていました。

そして続いて「お前の患者にもコロナはいるだろう、そいつの家を教えろ」と。

守秘義務がある為お伝えすることは出来ない事、感染者発生の際は然るべき機関に連絡する事を伝えましたが、結果として何一つ伝わりませんでした。

しばしの罵声の後、最後に「とにかく迷惑だから外を歩くな」と捨て台詞を吐いて去って行きました。

まだまだ認知度の低い訪問看護ですが、わたしたち訪問看護師は患者さんのお家での生活のお手伝いをする為にご自宅に伺い看護を提供しています。

内容はオムツ交換や入浴介助などの日常生活のお手伝いから、傷や床ずれの処置、人工呼吸器などの医療機器を使用している方のケア、終末期の方のお看取り等多岐に渡ります。

コロナに関係なく、極端な事を言えばわたしたちが行かなければ重症化する・ご家族と共倒れになる患者さんがいるのです。

病院の様に整った環境も物品もなく、すぐ側に医師もいない中で、多くの場合たった1人で看護をしています。

昼夜問わず、そして平日も休日も関係なく24時間365日、呼ばれれば家からも外出先からも駆けつけます。

全ては患者さんのお家での生活を支えるため。

そんな看護師たちがいることを、知って下さい。

そして、不必要な差別や偏見で傷つけないで下さい。

どうか、嫌な思いをする医療関係者が、これ以上増えませんように。