ゼミの心理学の先生、とても面白い方で。ある日の授業で「あなたは超能力の実在を信じるか」という内容のアンケートが回って来て。まあ当時はオウム事件の記憶も生々しく、クラスほぼ全員が否定的な態度だったわけ。すると先生がいつもの授業と違うことを言い始めた。
— 木船田ヒロマル (@hiromaru712) 2020年2月25日
「今日は皆さんに私の研究の協力者をご紹介します。プライバシー保護の為、仮にAさんとお呼びします。Aさんはある特異な能力の持ち主で、その能力について私は科学的アプローチで調べさせて貰っています。その能力とは、いわゆる超能力です」
— 木船田ヒロマル (@hiromaru712) 2020年2月25日
まあ半身半疑よね。
「ではAさんの能力の幾つかを一緒に見てみましょう」
そっからがすごくて。まずはサイコロの目の予言。先生が振るんだが明らかに二回に一回以上の確率で当たる。次にESPカード。これは生徒も参加して、9割くらいの正答率だったと思う。
「今日は行けますか」「大丈夫だと思います」— 木船田ヒロマル (@hiromaru712) 2020年2月25日
「スプーンを一つ取ってください」
先生に言われて、ゼミ部屋でコーヒー飲む時僕らが使うスプーンの一つがAさんに渡される。Aさんは目を閉じて、それを指先で軽く撫で始めた。するとゼミ室の蛍光灯の内の一本がジジッと点滅した。女子がきゃあっと悲鳴を上げる。— 木船田ヒロマル (@hiromaru712) 2020年2月25日
スプーンの頭は曲がるだけにとどまらず、僕たちの目の前でくるん、と首を傾げるように回ってカチャン、とテーブルの上に落ちた。
静まり返る僕たちに、またアンケートが回って来た。内容は同じ。「あなたは超能力の実在を信じるか」
僕らの回答は一変した。もちろん信じる側に。— 木船田ヒロマル (@hiromaru712) 2020年2月25日
アンケートを回収し終えると先生は言った。「種明かしをしますと、この方は私の知人のプロのマジシャンです。今日披露して頂いた現象は全て手品です」
なあんだ、という空気が流れる中、先生が続ける。
「でも、この種明かしがなかったら?これが何かのセミナーだったら?」
先生の手にはアンケート。— 木船田ヒロマル (@hiromaru712) 2020年2月25日
反論の余地はない。オウムの事件を知っていてさえ、目の前でセンセーショナルな現象が起きた興奮は、僕らの判断を狂わせたのだから。
「大学ってすげえな」と僕が思った授業の一つ。
因みにその方は「なるほど・ザ・ワールド」に「ジョーカーマン」というキャラで出演してた方とのこと。— 木船田ヒロマル (@hiromaru712) 2020年2月25日
蛍光灯はどうやったんですか?と聞いたら「あれはたまたま偶然で、普通に切れ掛けてるだけです」とのことだった。なんだそりゃ。僕らの鳥肌を返せ。空中浮揚もやれば出来るが、仕掛けの準備が大掛かりになるから今回は見送ったとか。
見たかったな……空中浮揚。— 木船田ヒロマル (@hiromaru712) 2020年2月25日
「サイ・ミッシング」ですね。先生が鼻で笑いながら教えてくれました。
「現時点では超能力があると言い切るのもないと言い切るのも、科学的には間違った態度」という先生に教えを受けられたことは、得難い財産だと思っています。— 木船田ヒロマル (@hiromaru712) 2020年2月27日
嫌悪感を抱かされる過程と信仰心を抱かされる過程は似ていますものね
— ちはやまど@ネーティネーティ (@packletosh) 2020年2月26日
やっぱり恐怖・痛みが人を一番
学ばせるよね— agica????余命宣告7日 (@agica011) 2020年2月26日