NEWS23、何故検査できないのか?2月25日韓国の検査実施数7,500件、日本23日96件。
上理事長「異様な少なさだ、PCRは簡単な検査、民間もプロでしっかりしている、一日万の単位で検査できる。厚労省は余程やりたくないんだろう、何か特殊な事情がある」
感染者まで隠ぺいするアベ政権。 pic.twitter.com/2GS46r6MFl— ryota (@ggzhmru2) 2020年2月25日
新型コロナウイルスの検査は重症者のみという行政の方針は医学的にはまったく正しい。PCRの感度特異度は高くなく、これをローリスクの対象者に行えば大混乱となります。しかしこのことは一般のひとの直感に反するためなかなか理解されません。検査は不安をなくするために行われるものではないのです。
— 室月淳@集英社新書「出生前診断の現場から」17日発売 (@junmurot) 2020年2月23日
「検査」というのはすればするほどいいわけでも,安心できるわけでもないことを説明します.もちろん検査のコストや時間のこと,感染がわかっても医療対応にはかわらないこと,また医療機関がパンクして救えるはずの命を救えなくなるといったことなどがありますが,以下に説明する重要な点があります.
— 室月淳@集英社新書「出生前診断の現場から」17日発売 (@junmurot) 2020年2月24日
検査には,感度(罹患者のうち陽性になる割合),特異度(非罹患者のうち陰性となる割合),陽性的中率(陽性のとき実際に罹患している割合),陰性的中率(陰性のとき真に罹患していない割合)の4つの尺度があります.医師は公衆衛生学で徹底して訓練を受けるのですが,一般的には混乱しそうですね.
— 室月淳@集英社新書「出生前診断の現場から」17日発売 (@junmurot) 2020年2月24日
仮にこのPCR検査の感度を90%,特異度を90%とします(よく知りませんが,実際はさらに低いかも).しかし検査をうける本人にとって真に重要なのは感度や特異度ではなく,検査陽性のとき実際に感染している割合(陽性的中率),または陰性のときほんとうに感染していない割合(陰性的中率)なはずです
— 室月淳@集英社新書「出生前診断の現場から」17日発売 (@junmurot) 2020年2月24日
ここでは感染の見こみが高いひとを「ハイリスク」,低そうなひとを「ローリスク」とよびます.陽性的中率,陰性的中率はこの事前の見こみによって大きくかわってくるのです.仮に,事前のリスクが50%程度見こまれるハイリスクのひとであれば,図のように陽性的中率,陰性的中率はいずれも50%となります pic.twitter.com/W2L8BTeuuj
— 室月淳@集英社新書「出生前診断の現場から」17日発売 (@junmurot) 2020年2月24日
逆に近所に患者がいたとか,風邪症状があって心配だというひとが検査を受けるとき,仮にその感染リスクを2%程度とします.そうすると,検査陰性のときに非罹患は99.8%ときわめて高いのですが,検査陽性のときに真に感染しているのはわずかに15%程度にすぎません.85%は偽陽性者ということになります. pic.twitter.com/sdxUtJbmDY
— 室月淳@集英社新書「出生前診断の現場から」17日発売 (@junmurot) 2020年2月24日
検査をなるべく多くするということがいかに無意味かおわかりになるでしょう.1日1万件以上の検査など狂気の沙汰で,偽陽性が毎日何百人もでてきて,その多くのひとたちが殺到して医療機関をパンクさせます.健康人を14日間も拘束隔離したり,レッテルを貼って差別したりする重大な人権侵害を招きます.
— 室月淳@集英社新書「出生前診断の現場から」17日発売 (@junmurot) 2020年2月24日
公衆衛生学の試験勉強で覚えた大昔の知識を思いだしながら書きました.繰りかえしますが検査はすればするほどいいわけではありません.検査は不安をなくすためにおこなうのではなく,医学的に必要と判断されたときにおこなうべきなのです.以上,専門家からの訂正やご教示をお待ちしております.
— 室月淳@集英社新書「出生前診断の現場から」17日発売 (@junmurot) 2020年2月24日