どうか介護福祉士をニュースの断片的な情報だけで誤解しないでください

 私は特別養護老人ホームの介護福祉士です。施設での虐待などのニュースで聞く職業なのでマイナスイメージが強いと思いますが、当然全員がそうではありません。高齢者さんの認知症の症状と言うのは十人十色。様々であり、コントで見るような物忘れや徘徊の他に、暴言や暴力などが出る人もいます。
 私が働いている施設では、毎日のように自分が介護をされている事が分からず、オムツ交換や入浴介助の際など「馬鹿女!」「死んじまえ!」「年寄りをいじめて楽しいか!クソバパア!」と怒鳴られます。それだけの事を言われても、言い返すだけで私たち介助者は『虐待』と罰せられます。言葉と共に手を出してくる人もいます。叩かれる。平手打ちをされる。つねられる。よくあります。

 今日私は施設から出てしまいそうになっている利用者さんを止めたところ(その利用者さんは普段は主の介護者である旦那さんが体調不良の為に暫くだけ施設に泊まりに来ているのですが、認知症の為に泊まりに来ている理由の理解が出来ません)、下腹部に拳を入れられ、その後に同じ場所を膝で蹴られました。膝蹴りがお腹に入った瞬間、私はそこを押さえて座り込みました。利用者さんは何とも思っていません。そのまま走って施設から出ようとした為、他の職員が急いで玄関を閉めました。(その利用者さんは短期入所者で、その時間だけデイサービスの利用者さんが帰る為に開いていた)私は立ち上がった後も止めました。それでもその利用者さんは再度私を叩こうとします。私は何も言葉が出ずに、その後は無言で傍らにいました。暫く経っと利用者さんはそこから出られないと分かって、他の出口を探しに行きました。
 私は何も言いませんでした。やり返しもしませんでした。当然です。相手は認知症の利用者さんなんですから。
 でも、涙が溢れました。こんなに頑張っても、暴力を振るわれても、我慢しても、介護福祉士ばかりが悪く言われます。

 日本の現在の法律では、介護福祉士の対応が悪かったと言われて終わりです。認知症ではありますが、実際のところは傷害罪です。それでも耐えています。多くの介護福祉士はこのような理不尽と日々戦っています。どうか介護福祉士をニュースの断片的な情報だけで誤解しないでください。超高齢者社会の日本にとても大切な職種なんです。

 この場合、悪いのは介護福祉士の待遇を良くしない日本政府であって、暴力を振るった利用者さんではないんですよね。介護福祉士の待遇が良かったり人権が守られていて介護者の配置人数が多ければ、帰宅願望がある利用者さんに一対一でついていてあげられるので、暴力を振るう程酷い症状は出ないと思います。
 介護者が少ないから施設内に閉じ込めるしか対応策が無くて、利用者さんは手を出すことになる訳で、それが分かるから更に辛いところがあります。利用者さん側にしてみたら、知らない人だらけの知らない場所に理由が分からないまま閉じ込められているので、外に出て家に帰りたいのは人として当たり前なんですよね。私もいつも仕事に行くとすぐに帰りたい。
 認知症が悪じゃないので、そこも分かって貰えたら嬉しいです。誰もなりたくて認知症になる訳じゃないので。