二度とするな。二度と島に来るな!

散らばった大量のせんべいと、それをほおばるヤクシマザル…。樹齢7200年とも言われる「縄文杉」を始め、豊かで貴重な生態系を持ち「東洋のガラパゴス」とも称される世界自然遺産・屋久島で、今夏以降、条例で禁止されている「餌付け」と思われる行為が相次いで確認されている。餌をくれると認識したサルが人を取り囲むなどの被害も1~2年ほど前から報告されているといい、関係者は「つかず離れずの距離でサルやシカが見られるのも、10年、20年と『餌をあげないで』と声を上げ続けた結果。生態系を守るため、どうか、理解して欲しい」と訴える。

 ガイドは「自分たちも餌をやらないよう訴えてきたが、ここ1年ぐらい、人づてに、レンタカーや、歩いている人がサルに囲まれた―という話を聞くようになっていた。ばら撒いた人の意図は分からないけれど、まさか本当にしているとは…」と声を落とす。

2011年には町も餌付けを禁止する条例を制定。違反者には罰則も設けた。

 「それでも、サルは一度覚えた味を忘れない。10年、20年地道に訴え続けて、そういうサルが死に、世代が変わってようやく最近、落ち着いてきたところなんです」と屋久島観光協会。「人の食べ物は野生動物にとっては有害なこともある。自然界は私たちが計り知れない複雑な関係性の中で成り立っている。餌付けによって動物の食生活や行動を変えることは、そのバランスを壊してしまうことにつながるんです」と訴える。